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「全てのものは不変じゃない。伝えられていくうちにその姿なんて簡単に変わるの。だから皆情報収集を欠かさない。ある程度広まるとすぐ本人に影響が行くからね。『アレ』を託されるラウールにとっては一番大切なこと」
「わかりました！」
「あともう一つ。今も新しい都市伝説はどんどん生み出され続けてる。……例えばこの会社とか、ね」
「えっ！？でも阿部さんは一言もそんなこと……」
「阿部ちゃんは基本優しいから、後輩を不安にさせるような事はまず言わない。それに判明したのも最近の事だから」
「そうなん、ですか……」
「そう。俺たちは都市伝説の存続の為、怪異を広めるのを目標にしてる。ただそれを依頼者がどう伝えるかまでは判らない。きっと誰かがこの会社について話し、それが独り歩きしたんだろうねえ。『何でも願いを叶えてくれる男』の噂として確立しちゃったの」
「それって深澤さんの事じゃないですか！」
「多分ね。そしてその噂は少しづつ力を持ち始めてる。パターンも沢山あって、願いが叶えられたら殺されるとか寿命が半分になるとか、一人だったり複数人だったり人数もまちまち。流行り始めてから依頼者が不幸な目に会うことが増えたから何らかの影響を及ぼしていることは間違い無いよ」
「……何か怖くなって来ました。身近なものが怪異になるなんて、現実味無くて」
「ラウール！うちを身近なものって言ってくれてお母さん嬉しい！それと住み込みの件だけど、そろそろ引っ越しの準備はしておいてね。研修期間が終わり次第こっちに住んでもらうから。さて、言いたいことはもう無いし、戻ろうか！」
「うん！判ったよママ！」
何故か深澤さんは自分のことをお母さんと自称することがある。そういうときは乗ってあげるととても喜んでくれるので乗ってあげるようにしていた。
その日の帰宅時、いつものコンビニで僕は記録用のノートを買った。此処に書いたことは、きっと何かの役に立つと思いたい。僕は先輩たちのことを何も知らない。だから明日から、いろんなことを書き溜めていこう。初日は目黒さんと一緒か、とても楽しみ。
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作者名：カルカンサイト | 作成日時：2022年10月2日 2時
