five years ago -14 ページ19
.
両手で包み込んで、今度は私が相葉さんの手を擦る。
「どうしたの？」
声が優しいから、思考することを放棄しだした頭で私は言葉を吐き出した。
「新婚さんなのに…奥さんに悪いですね、こんなにくっついてたら…」
今もまだ相葉さんと私の手は固く繋がれている。
互いに擦り合いながら、温もりに縋るように。
「大丈夫だよ…たぶん。緊急事態だもん。君が体壊したりしたら俺全員にめちゃくちゃ怒られちゃうよ」
たぶん寒さと体力の低下で思考が鈍っている。
そう言って小さく笑った相葉さんの声もだいぶ頼りなくなっていた。
今が何時なのかわからないけど、閉じ込められてから数時間は経っているかもしれない。
ずるりと、隣の相葉さんの身体が滑り落ちそうになる。
「相葉さん…」
「だいじょうぶ、だいじょうぶだよ…っあ」
身体を戻そうとした相葉さんがバランスを崩した。
私に支える力は残ってなくてそのまま折り重なるように床に倒れ込む。
「っ」
「！」
上に覆いかぶさった相葉さんの唇が、私の口の端ぎりぎりに触れた。
というか、重さでしっかりと押し付けられた。
思いがけないキス未遂に私たちは驚いて同時に離れようとするけれど、身体は言うことを聞いてくれない。
指先の感覚も分からないまま、布の中で絡まるようになっていた腕を解くところまでが限界で、私たちは顔を見合わせて真っ白な吐息を吐き出した。
「ごめん、Aちゃん…」
「だいじょうぶ…です…」
何が大丈夫なのかわからないけれど。
発した言葉はまた白く煙って相葉さんの顔を遮った。
相葉さんの顔がまた近づいてくる。
小さな頭が、私の肩に埋められた。
「……大丈夫だよ、Aちゃん。俺が、なんとか…」
小さく呟いた相葉さんの腕が私の身体を抱きしめた。
包まった布の中で私もまた温もりを求めて手を伸ばす。
初めて抱きしめた相葉さんの背中は、大きくて、だけど思っていたよりずっと、細いものだった。
ガンガンガンッ。
「A！Aいるか！」
突然音が響き渡った。
翔くんだ、と思ったのと、意識が闇へと沈んでいくのはほとんど同時だった。
.
five years ago -15→←five years ago -13
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 153人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
iCHiKA(プロフ) - ともさん» ですよね〜。姿がわからないからこそ、みたいなところもありますので想像しながらモヤモヤしていただけたらと思います、笑 (2021年2月28日 22時) (
レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 相葉ちゃんの奥さん…めちゃくちゃ気になる(￣▽￣;) (2021年2月22日 22時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
iCHiKA(プロフ) - ともさん» ともさんいつもありがとうございます！ですよねー、私もそう思ってます。いずれ変化もやってくるので、そのときをぜひのんびりお待ちくださいませ。 (2021年2月15日 20時) (レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - あぁーもぉー相葉ちゃんを悲しませる様な彼女とは別れちゃえば良いのに！にのちゃんの言うように…相葉ちゃん振り回され過ぎ… (2021年2月13日 8時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年12月25日 12時
