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急患もなく、重体の怪我人も居らず、平和なとある日の蝶屋敷。
その一室にて、手術に用いる医療用のメスを手に、怪しげな笑みを浮かべる一人の女がいた。
「うふふ。この曲線。ふふふふ·····。」
「Aさ〜ん!
····って、また医療器具見てるんですか?」
「やぁなほちゃん、どうしたの?怪我人?」
「いえ!先程しのぶ様から煎餅を頂いたので、お茶のお誘いに····。」
「うぅん、それは是非とも行きたいんだけど。生憎これから往診の予定が入っててね。ちょっと出ないとなんだよ。」
「そうなんですか····。じゃあ、Aさんの分は取っておくので、お暇なとき食べて下さい!」
「優しいねぇ。そうさせてもらうよ。ありがと。
さて、そろそろ迎えも来るだろうし、行こっかな。」
「そう言えば、どこまで行かれるんですか?」
「ん?お館様のとこ。」
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さて、隠の方に運んでもらうこと幾許か。
着きましたよ目的地。
いやぁ、相変わらずでかいわぁ。産屋敷家。
「お待ちしておりました。A様。ご案内します。」
「お願い致します。」
門の前で御息女であろう方に出迎えてもらい、
一族揃って美形だよなぁ····とか考えつつ、後を着いて行けば、ある襖の前で足を止める。
「着きました。
父上、お医者様の西城寺様がいらっしゃいました。」
「どうぞ中へ。」
中から聞こえてきたのは、落ち着いた心地の良い声。
「失礼致します。」
「やぁ、おはよう。」
「おはようございます。調子はいかがですか。」
「うん、この前よりは大分楽になったよ。Aの薬は、相変わらずよく効くね。」
「それは良かったです。それでは早速ですが、始めさせて頂きますね。」
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作者名:しゃも | 作成日時:2019年9月16日 10時