もしもこの恋ができたなら3 (ページ3)

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Aside

夏休みが終わり、新学期が始まる頃。

恒例の席替えタイムが行われた。

次こそは……お目当ての場所に当たりますように！

そう願いながら、箱からくじを引く。

箱から紙を出すと“18番”

『外れ席じゃん！』

自分の運がついてない事に思わず声を出してしまった。

落ち込みながらも荷物を持って、その席に移動すると、

あれ…無い。

カメラのフィルムが無い。

一緒に持ってきたはずの物がなかった。

前の席に置いてきちゃった…とか？

今あそこには…岩﨑くんがうつ伏せてるじゃん…

今取りに行ったら邪魔になっちゃうかな。

そう思いながらも、あのフィルムを見られる訳には行かないため、寝ている岩﨑くんの肩をトントンと叩いた。

『あ…起こしちゃってごめんね』

大昇「どうしたの？」

『引き出しに忘れ物しちゃって、取ってもいい？』

“いいよ”と許しをもらって引き出しの中に手を入れる。

探す中、ふと距離が近いことに気づいた。

目の前に太ももがあって、腕も近く

囲まれているようだった。

大昇「Aって意外におっちょこちょいだよね」

『……え？』

そんな考えの中、大昇くんから話しかけられた。

にしても、呼び捨て…？それに“意外”って言葉。

まるで、前から私のことを知っているみたい。

大昇「あ、なんかしっかりしてるイメージあったからさ笑」

『あ、あ〜なるほどね！笑』

岩﨑くんって不思議。

顔も合わせたことも無いし、

今初めて会話したのに、

なんでこんなに、優しい目で見つめてくれるんだろう。

『あ…あったあった〜』

そんな中、机の中から見つけたカメラのフィルム。

大昇「フィルム、見つかってよかったね」

『うん！ってカメラ詳しいの？』

今どき、このタイプのフィルムを知ってるとは珍しい。

『いわ…大昇くん、“今どきフィルム？”って思うタイプかと笑』

大昇「意外でしょ笑」

『ふふ笑笑、こんなに気さくに話せるのも意外笑』

さっきからお互いの意外な場所ばっかり話して…

今日初めて話すのに、変なの。

でも、どうしてか、

大昇くんの笑う姿は

どこか優しくて、安心する。

一瞬で懐に、気持ちよく入ってくる。

なんでこんな気持ちになるんだろう。

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