幸福論 =4=

Episode.151 ページ9

なんで、メローネが。ギアッチョの次に来るわけないと思っていた人物だ。ギアッチョより話しは聞くが、ギアッチョ以上に話しなんてお構いなしに行動する。だから、メローネもお留守番組だと思っていた。なのに、なんだこの最悪の人選は。リゾットがこれを許したのか？そんな馬鹿な。

とりあえずメローネの人質というワードが効いたのかスタンドが消えた。凍っていたものは全て元通りだが、壊れた物は元通りというわけにはいかない。この部屋のドアと、恐らく玄関のドア。両方壊されているのが目に見えて頭を抱えた。


｢ギアッチョ、弁償だからね｣

｢うるせェッ！！助けに来てやったんだから有難く思えこのクソ女ッ！さっさと帰るぞ！！｣

｢話しの途中で悪いが、Aを返すのは交渉が済んでからだ｣


ブチャラティが会話に割って入った。ギアッチョが明らかに青筋立てている。キレて殴りかかりそうになっているのを、メローネは面白そうに眺めていた。……交渉にならない、やっぱり。


｢ギアッチョ、メローネ。先走るなと言ったはずだ｣


その声は、と心底安心する。電話ではあんなに怖かったのに、今はこの状況をまとめられる数少ない人間だからだろう。少し遅れてやってきたリゾットは二人を宥めるとAをチラッと見て会話を進めた。


｢交渉と言っていたが、あれはどういう意味だ。特に何か要求もせず、場所も指定せず、目的はなんだ｣

｢俺の予想だと、あんた達はここを見つけるまであと2日かかると思っていた。だが、Aがすぐ見つけると言うもんだからな｣

｢だからなんだってんだァ！？質問にさっさと答えろッ！クソッ！｣


部屋の入口に立つ三人、部屋の窓際に立つ三人、そしてその真ん中にあるソファに座るA。もうどうしたものか。


｢俺は、あんた達と取り決めをしたいんだ。そのために、あんた達がどういう人間か知りたかった｣

｢取り決めって……｣

｢Aのことは信頼している。しかし俺は、いや、俺達は一つのチームとして、そちらのチームと約束事を結びたいと、そういう事だ｣


ブチャラティがわざわざ場所を教えなかったのは、どのくらい早く見つけられるか調べてたってこと？そしてAを交渉材料に選んだのは、確実にその取り決めを結ばせるため？

でも、なんでそんなことを急に。


｢俺たちは、Aの未来を読める力、人の心を見る力が欲しい｣









(その言葉に)
(目を見開く)
(狙いはそれか)

Episode.152→←Episode.150

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す