Episode.173 ページ31
ゾッとした。Aも前まではこの日記さえあればどんな未来も怖くないと盲信していた。しかし、空条承太郎に言われて気が付いた、いや、思い出していたのだ。未来は不確かなものであり、どれだけ読んでも確定付られるものではないと。そんなに期待されては困る。Aは既に出していた日記をギュッと抱きしめた。
＿＿これは、そんなに良いものじゃあない。
｢見てもらえないか？A｣
怖い。どうしよう、すごく怖い。そうか、あの人が言っていたのはこういうことだったんだ。みんなはもう、未来が分かるから大丈夫だと思ってしまっている。あの村人と同じように、この日記をあまりに信じ過ぎてしまっている。
｢ま、待ってブチャラティ。その前に、みんなに一つ聞かせて｣
ジョルノやトリッシュは初めて会うから、この人達を正常の基準としよう。いや、ブチャラティ達が決して異常なわけではないが、思い出してもらわないといけない。Aは元々それらしいものはなかったけど、彼らはきちんと持っていたはずだから。
｢これから起こる、そして成すこと全てへの決意と覚悟、それはちゃんと、あるんだよね？｣
今更だろう。しかし、Aは空条承太郎の言いたかったことは結局これなのだろうと思う。盲信すると自分のことが見えなくなる。どれだけ未来が分かっいても、最後に未来を切り開くのはみんなの意志、覚悟の力。
｢もちろんです。貴方に言われずとも、僕達は彼女の護衛中、覚悟を持って任務に挑んできた｣
そう言ったのはジョルノだった。ミスタも頷いた。ナランチャ、アバッキオ。どんどん、Aの目を真っ直ぐ見て言ってくれる。覚悟はある、と。
｢未来は必ずしも絶対のものじゃない。読み終わったその直後から、既にもう読んだ未来と変わっているんだと思う。私教えられたんだよ。最後に未来を掴むのは、自分自身なんだって｣
｢……そうだな。その通りだ。俺は改めてお前に誓おう。この覚悟が揺らぐことはないと｣
ブチャラティがそう言って手を差し出してくる。これが最後になるのかもしれないというのは、考えないようにした。きっと、彼なら大丈夫だ。
｢A、僕はやはり、それでもブチャラティ達について行く。今ならまだ引き返せるとしてもだ｣
｢……これが良い変化なのか、でも、フーゴがそれでいいなら私は止めない｣
(本を開く)
(この日記を読んで尚)
("自らの手で"未来を掴めるか)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 100人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Crow(プロフ) - 定期的に読みたくなっちゃいます。5、6周はしてるから内容覚えちゃいました笑 これからの活動も応援してます (2020年2月9日 15時) (
レス) id: e5ce766b8a (このIDを非表示/違反報告)
まどろみ(プロフ) - るこさん» こんな何度も感想下さって本当に有難う御座いますッ！お互いお疲れ様です！いつかリメイクした作品も読んでいただけると嬉しいですm(*_ _)m (2019年2月25日 23時) (レス) id: 2cd0a82a72 (このIDを非表示/違反報告)
るこ(プロフ) - 完結おめでとうございます！！毎度のこと一つ一つのお話が面白く、描写の仕方や、感情の表現の仕方などとても凝っていて、本当におもしろく話に引き込まれました。そして本当にお疲れ様でした！！番外編楽しみにしていますね！！！ (2019年2月25日 17時) (レス) id: c7737debdf (このIDを非表示/違反報告)
まどろみ(プロフ) - ごみさん» ありがとうございます！面白いと言ってもらえて嬉しい(泣)番外編もお楽しみください＜(_ _)＞ (2019年2月25日 17時) (レス) id: 2cd0a82a72 (このIDを非表示/違反報告)
ごみ(プロフ) - 完結お疲れ様でした！途中から見始めましたが本当に面白かったです！番外編楽しみにしてます！ (2019年2月25日 16時) (レス) id: 83e9aedb9b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まどろみ | 作成日時：2019年2月23日 20時
