Episode.156 ページ14
ブチャラティ達の日記は壮絶なものだった。あまりの情報量とその結末に、片方は絶望的な顔をして、もう片方は興味深そうに日記を見ている。Aは未来を変えるつもりだった。だが、そもそもどこからの未来を変えればいいのかすら判断付けられずにいる。ターニングポイントとなるものが多すぎて、どうしたらいいのか分からなかった。
｢リゾット、これ、これどうしたら……｣
｢このままいけば、ボスはコイツらに殺される。ならば問題ないだろう｣
リゾットの言葉に身体が硬直した。身体だけじゃない、全感情が、全思考が、全て一度止まる。そして、リゾットがブチャラティ達を助ける気など全くないことに当然だと納得しつつも、自分がそれをすることについては許し難いと唇を噛んだ。
｢でもそれじゃあブチャラティ達は！このままいけば確実に死んでしまう！！｣
｢だがその結果、ボスは倒される。A、元々俺たちの最終目標はこの冷遇から脱することだ。ブチャラティ達にも協力した。麻薬ルートは奪えずとも、ノーリスクハイリターンであることに違いはない｣
｢でもっ、そうだけどっ……！｣
｢巻き込まれ、仲間が死ぬリスクを負ってまで救う義理があるのか？それに、お互い干渉しないと言ったのは向こうだ。助ける道理はない｣
リゾットが言ってることは"チームを背負ってる人間"として当然の言葉だった。それが合理的判断であり、チーム全体のためになることだ。それはちゃんと理解していた。でも、 それならじゃあ……
｢私だけでも力になりたい。少しでも助けられる可能性があるのに、それを私が持っているのに｣
｢それでお前がボスに目をつけられたらどうする。何かを得るのに犠牲はつきものだ。お前がコイツらを救おうとして、お前が死んだら意味が無い｣
そう言われて、何も言えなかった。リゾットは常に仲間のことを考えている。その仲間には、きちんとAも含まれているのだ。絶対に何も起きないと断言できない。自分の未来は見えないのだから、それ以上は何も言えない。
｢……だから、俺達のうち誰かが常についていく｣
その言葉に驚いてリゾットを見る。でも、頭に手を置かれてもっと驚く。はぁ、という小さい溜息。その全てが、Aの心を温かくした。
｢そもそも俺たちは命を奪うのが仕事だ。……引き際だと思ったら、問答無用でお前を連れて帰る｣
(……ありがとう！)
(礼はいい)
(日記を読むぞ。少しでも情報がいる)
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Crow(プロフ) - 定期的に読みたくなっちゃいます。5、6周はしてるから内容覚えちゃいました笑 これからの活動も応援してます (2020年2月9日 15時) (
レス) id: e5ce766b8a (このIDを非表示/違反報告)
まどろみ(プロフ) - るこさん» こんな何度も感想下さって本当に有難う御座いますッ！お互いお疲れ様です！いつかリメイクした作品も読んでいただけると嬉しいですm(*_ _)m (2019年2月25日 23時) (レス) id: 2cd0a82a72 (このIDを非表示/違反報告)
るこ(プロフ) - 完結おめでとうございます！！毎度のこと一つ一つのお話が面白く、描写の仕方や、感情の表現の仕方などとても凝っていて、本当におもしろく話に引き込まれました。そして本当にお疲れ様でした！！番外編楽しみにしていますね！！！ (2019年2月25日 17時) (レス) id: c7737debdf (このIDを非表示/違反報告)
まどろみ(プロフ) - ごみさん» ありがとうございます！面白いと言ってもらえて嬉しい(泣)番外編もお楽しみください＜(_ _)＞ (2019年2月25日 17時) (レス) id: 2cd0a82a72 (このIDを非表示/違反報告)
ごみ(プロフ) - 完結お疲れ様でした！途中から見始めましたが本当に面白かったです！番外編楽しみにしてます！ (2019年2月25日 16時) (レス) id: 83e9aedb9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まどろみ | 作成日時：2019年2月23日 20時
