Episode.34 ページ37
｢そ、それは……申し訳ありませんが、オーナーを呼ぶことは｣
｢私はここに、高い金を払って彼の料理を食べに来たんだぞ！それがこれか？ふざけるな！まさか、他の料理にも虫が入ってるんじゃあないだろうな｣
そう言った瞬間、辺りがざわりとどよめき立つ。
うまい、Aは素直にそう思った。まさか、周りも巻き込んであとに引けなくさせるとは。…それにしても、迫真の演技。普段のギアッチョとは何もかもが違って、なんだか違和感が凄いなぁ。
この出来なら、Aが参戦する必要も無いかと思ったが。
｢それも含めて、別の責任者が説明しますので…｣
ううん、ダメか。それならば
｢リベルタ、もうやめましょう？確かに虫が入っていたなんて大事だけれど、別のに取り替えてもらえばいいじゃない｣
｢トリシャ。君には悪いが、ここを君にお勧めしたのは私だからね。もしかしたら私じゃなく、君の料理に入っていたのかも知れないと思うと……｣
もうギアッチョは俳優目指せばいいのでは、というくらい完璧な演技。周りの客の女性陣は、完全にこのウェイターを敵とみなし睨んでいた。男性陣もあまり気分のいい表情ではない。
すると、一人の男が厨房の方から出てきた。それは何度も資料で見た男、バチスに間違いない。
｢オーナー！すみません、事を荒立てるつもりは…｣
｢いい、下がっていなさい｣
ウェイターはクビにされまいと必死なようだ。申し訳ないが、オーナーは死ぬので意味は無い。Aはスタンドをテーブルの中に出した。そして、下からそっと足のつま先を触り続ける。
＿＿5回…………10回…………
｢私の料理に虫が入っていたとか。それは大変失礼なことを。本当に申し訳ない｣
＿＿16……20………………25！もう少し…
｢……いえ、こちらこそ。彼女に言われてようやく頭が冷えました。つい、言い過ぎてしまった｣
＿＿あと一回で30…！！
カヤタナの羽で触ろうとした瞬間。
鼓膜を破るような轟音に、Aは悲鳴を上げることも忘れて防御姿勢をとった。数秒の後、ゆっくりと目を開ける。ふわりと頬を撫でた風、しかし、目の前で起きたそれは、その言葉の柔らかさとは裏腹に信じ難く、悲惨なものだった。
｢シャ、シャンデリアが……落ちてきた…？｣
その誰かの声を皮切りに、人々は悲鳴をあげて店の外へ逃げる。ハッと横を見たがそこにバチスの姿はない。ギアッチョもどうやら、一瞬目を離してしまっていたようだった。
(また文字数
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まどろみ(プロフ) - トトリさん» 本当ですか！？そう見えているなら良かったぁ。引き続き頑張ります(∵ゞ (2019年2月14日 0時) (
レス) id: 2cd0a82a72 (このIDを非表示/違反報告)
トトリ - 主人公ちゃんがちゃんと成長してて すっごく面白いです！ 応援していますよ！！ (2019年2月14日 0時) (レス) id: da96f40f0c (このIDを非表示/違反報告)
謙信様大好き(プロフ) - まどろみさん» あなたの書くギアッチョが好きだ……とても素敵です(*^^*) (2019年2月13日 0時) (レス) id: aa132290f9 (このIDを非表示/違反報告)
まどろみ(プロフ) - 謙信様大好きさん» コメント励みになります！初めたばかりで何もかも手探りですが、頑張って行こうと思います！ (2019年2月12日 23時) (レス) id: bd256241e0 (このIDを非表示/違反報告)
謙信様大好き(プロフ) - はじめまして。めちゃくちゃ面白かったです(*^^*)これからも頑張ってください(*^^*) (2019年2月12日 6時) (レス) id: aa132290f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まどろみ | 作成日時：2019年2月10日 21時
