限界 ページ7
*shigeoka*
重岡「はぁっ?!」
藤井「それ、大丈夫なんすかっ?!」
中間「手術は無事に終わって、腕の傷もキレイに閉じてもらってた。輸血もギリ免れたみたいやし。腹部の刺傷も腹膜までは達してたみたいやけど、臓器は損傷してへんから、後遺症がなければ問題ないって、救急部長直々に説明してもろた」
神山「まだ、安心はできないんですね…」
コールホワイト騒動でバタバタしてた所で、急なチームの招集命令。
とりあえず集まれたのはドクターの4人だけなんやけど、まさか桐山先生が刺されたなんて…。
当たり前やけどそんな事聞くと思ってへんから、なんか、頭真っ白で。
特に藤井なんて、相手は違えど病院内で怪我した経験があるからか、余計に表情が苛立って見える。
藤井「捕まったの、うちの元患者家族だって聞きましたけど…?」
中間「もうそこまで噂広がってんのか。小児科に居った女の子の父親で、その女の子、先日ホスピスで亡くなったんやって」
神山「……っ」
重岡「その女の子と桐山先生の関係って…?」
中間「何も無い。女性の看護師しか居らん所に男が突っかかってきて、たまたま近くに居たから対応したんやと」
桐山先生らしいというか…。
ていうか、このチームゴタゴタに巻き込まれ過ぎやろ。俺が言えた事やないけど、1回お祓い行った方がええんとちゃう?
とりあえず、しばらくは6人でって事になるんか。
疼痛管理の神山先生と、内科的治療の桐山先生の、術前術後の最強タッグはしばらく封印やね。
藤井「まぁ、桐山先生が戻ってきた時にガッカリされないように頑張りますか」
中間「その通り。照史が居らんからってチームの活動を止めるつもりはないで。しばらくは代理の循環器内科医掴まえてあるからよろしく頼むで」
神山「もちろんです」
緊急の招集やったからそんなに長時間話せる訳でもなく、みんなそれぞれ自分の仕事に戻って行った。
俺もスタッフステーションに戻って、薬の処方出しとるんやけど、頭のどっかで桐山先生の事が気になってまって、気付いたら意味不明のアルファベットが並んどる。
患者家族から恨まれるという話は、決して少ないわけやない。
医療にも限界はある。
この言葉はいつも、患者さんやご家族に苦しく辛い現実を突き付けてきた。
でもな?医療の限界に苦しむのは俺ら医者も同じで、患者さんを看取る度に、もっとできた事があったんやないかと、出るはずもない正解を探してるんよ。
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エミーリア(プロフ) - ふぇるさん» コメントありがとうございます!医療系のお話良いですよね〜!!リアルを追求するが故に更新が遅くなりがちですが、これからも読んで下さると嬉しいです!よろしくお願いします♪ (2023年2月8日 22時) (レス) id: f671841eb7 (このIDを非表示/違反報告)
エミーリア(プロフ) - きのこの里さん» お返事遅くなってごめんなさい!コメントありがとうございます!今までのお話の中の伏線を思い出しながら、楽しんで頂けたらと思います!!これからもよろしくお願いします♪ (2023年2月8日 22時) (レス) id: f671841eb7 (このIDを非表示/違反報告)
ふぇる(プロフ) - 医療系のお話が好きで、一気読みさせてもらいました。とてもリアルな描写に一目惚れしました。これからも更新、頑張ってください!(語彙力の無さは気にしないでください。) (2023年1月29日 16時) (レス) id: 6e2686eef6 (このIDを非表示/違反報告)
きのこの里(プロフ) - 待ってました!更新楽しみにしてます! (2023年1月19日 3時) (レス) @page1 id: c631ff88c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:エミーリア | 作成日時:2023年1月19日 2時