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受け止める ページ5

*kiriyama*




男「院長を呼べ!謝罪しろ!!お前らみんな、人殺しや!」



なぎ倒された机や椅子。

差し出されたナイフ。

思ったより状況は最悪や。


スタットコールで集まった人達のざわめきを感じながら、頭をフル回転させる。



Ns「桐山先生、院長を、呼びますか…?」


男「さっきからそう言うてるやろ!こうでもしねぇと動かねぇってことは、やましい事でも隠してるんか?あぁ?!」


桐山「それを、置いてください。誰かを傷付けることがあなたの望みではないでしょう?」



威圧感を与えないようにゆっくりと近付く。

手を差し出し、攻撃する意思が無いことを示しながら、ゆっくりと。

ナイフを持った手が震えているのに気付いた。

やっぱりそうや。こんな事、望んでるわけないやんな。


…ほんの少しだけ、力が緩んだのが分かった。

その隙に、ガっと手首を抑えると、痛みからか反射的に押し返して来た。




男「やめろ!」


桐山「っ、嘘やろ…!」




俺が床に抑え込もうとしたのと、相手が腕を振り払おうとしたのが同時やったんやと思う。

ほんの一瞬、刃先を見失った。


次の瞬間には、真っ直ぐに向かってきたナイフが、避けきれなかった俺の左腕をかすめる。そして、そのまま強い衝撃を受け止めた。

、、、受け止めて、しまった。



男「…ぁ」


桐山「っ、!!」


Ns「っ、桐山先生!」


小瀧「確保っ!」



バタバタと人が入ってきて、何が起きてるんかよう分からん。

警察?警備員?あれ、、小瀧くんも居るん?思ったより大事(おおごと)になっとるやん。

景色も意識も何となくフワフワしている中で、燃えるような腹の痛みだけが、やけに鮮明やった。


お気に入りのシャツやったのになぁ、とかどうでもいい事が頭を過ぎる。




中間「照史っ!しっかりしぃ!」


桐山「、淳太くんっ…?っはぁ、いってぇ、」


中間「動くなアホ、ナイフ刺さってんねんで」




刺されてる人に向かって、アホはないやろ、アホは。

てか、しっかりしてるから。割と、自分でもびっくりするくらいしっかりしとるから。

かすめただけやと思った左腕は、思った以上に切れてたらしく、さっきから淳太くんが圧迫止血してくれてんねやけど、強すぎて痛いし。

…え、この状況でストレッチャーとか恥ずかしいんですけど。




男「っ、娘を返せ!」



人だかりの隙間から拘束された男がそう叫ぶのが見えた。

抵抗する様子もなく、ただ涙を流して叫んでいるようだった。

止血→←コードホワイト



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エミーリア(プロフ) - ふぇるさん» コメントありがとうございます!医療系のお話良いですよね〜!!リアルを追求するが故に更新が遅くなりがちですが、これからも読んで下さると嬉しいです!よろしくお願いします♪ (2023年2月8日 22時) (レス) id: f671841eb7 (このIDを非表示/違反報告)
エミーリア(プロフ) - きのこの里さん» お返事遅くなってごめんなさい!コメントありがとうございます!今までのお話の中の伏線を思い出しながら、楽しんで頂けたらと思います!!これからもよろしくお願いします♪ (2023年2月8日 22時) (レス) id: f671841eb7 (このIDを非表示/違反報告)
ふぇる(プロフ) - 医療系のお話が好きで、一気読みさせてもらいました。とてもリアルな描写に一目惚れしました。これからも更新、頑張ってください!(語彙力の無さは気にしないでください。) (2023年1月29日 16時) (レス) id: 6e2686eef6 (このIDを非表示/違反報告)
きのこの里(プロフ) - 待ってました!更新楽しみにしてます! (2023年1月19日 3時) (レス) @page1 id: c631ff88c9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:エミーリア | 作成日時:2023年1月19日 2時

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