Be my Valen…… / Bill ページ10
「ビルってさ、優しいし格好いいし、彼氏だったら相当自慢になるだろうけど、なんか嫌だよね」
「そうそう。なんて言うか……完璧すぎて、みたいな！」
「女の子が喜ぶこととか分かりすぎて逆にキュンとこないんだよね〜」
談話室の向こうで、声を落として喋っているつもりなんだろうけど、僕にははっきり聞こえている。本当、滅入るなぁ。ため息をついて、目頭を抑える。もう一度、杖で紙面を叩いて文字を消した。しかし、何度も消しすぎたせいで呪文が弱まっているのか、消し跡が薄く見えている。女の子が喜ぶこと分かりすぎてる──か。
「……彼女に対しては、分かんないんだよなぁ」
そんな声は、談話室の向こう側で盛り上がっている女子の笑い声に溶けて消えた。
＿＿
ホグワーツのバレンタインは盛り上がる。朝から夜まで、休み時間も授業中も。カードを渡された時、僕のことを想ってメッセージを選んでくれたんだなと思うと嬉しくなる。
そして今年、去年までにカードを送ってくれた彼女達の気持ちがよくわかった。こんなに心理的負担がかかるものって、この世にほかにない。テストより緊張する。もし、大広間で彼女が僕の送ったカードを嗤ったら。考えるだけで寒気がする。彼女がそんなことをする人間ではないと分かっていながらも、やはり想像力というのは恐ろしいもので。
一年に一度のバレンタインも終盤に差し掛かったというのに、僕は彼女にカードを渡すことはおろか、カードを完成させることも出来ていなかった。
「ね、そんなに項垂れてどうしたの？」
声にならない声が漏れる。間違いようもない、「彼女」の声だ。突然炎の海に投げ込まれたような感覚で、心臓が早鐘を打っている。僕が声も出せていないうちに、彼女は僕の手元を覗き込んで微笑んだ。
「あっ、バレンタインのカード？ もうすぐ終わるから、早めに渡しておいた方が良いよー。だって、そんなに何度も書いて消してってしてもらえたもの、貰えたら絶対嬉しいもん」
彼女はふわりと笑う。この世の何よりも美しい、手本のような笑い方を彼女はする。他の人に抱いたことのない気持ちがどっと湧いてくる。だからこそ、彼女に見合う言葉がどこにも見当たらない。彼女が今日男子から──もしかしたら女子からも──貰った数多のカードのどれより素敵な言葉を。
「……あの、A。聞いてほしいんだ── 」
You are the reason why I am here . / Charlie→←．
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狸ノ木(プロフ) - そると。さん» コメントありがとうございます！ 私も結構気に入っている話なのでそう言っていただきとっても嬉しいです……！ たぶんころっと落ちちゃいますね☺️(そんな機会があればですが！) (2022年4月5日 17時) (
レス) @page37 id: 7569f5552e (このIDを非表示/違反報告)
そると。(プロフ) - 最後のジニーのお話...めっちゃ好きです...あんな言われたら落ちるしかなくない...？？？ (2022年4月5日 1時) (レス) @page36 id: 49e4342c2d (このIDを非表示/違反報告)
狸ノ木(プロフ) - 弁当にトマト入れないでさん» コメントありがとうございます〜！！こんなに素敵な言葉を頂いてもいいんでしょうか……すごく励みになります😭してみたされてみた、また書きたいので出すと思います！ 楽しみにしてて下さい💞 (2022年2月15日 7時) (レス) id: 7569f5552e (このIDを非表示/違反報告)
弁当にトマト入れないで - してみたされてみたまた出して欲しいです！無理だったらすいません!!お話作るの天才すぎ!!めっちゃいいお話だらけ! (2022年2月14日 22時) (レス) id: 2bfe3fce26 (このIDを非表示/違反報告)
弁当にトマトを入れないで - 私もパーシーと、オリバー大好きだから主さんのお話大好きです！ (2022年2月14日 22時) (レス) @page16 id: 2bfe3fce26 (このIDを非表示/違反報告)
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