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「夢を決めなきゃいけないって、どういうこと？」
熱弁するパーシーに比べ、私のその話題に関する熱量は極端に低かった。難しそうに顔を顰めながら訊ねる私に、パーシーはため息をついた後こう語った。
「夢っていうか、将来だ。自分がどうなりたいか、何になりたいか。例えば、僕は魔法省に就職したい。オリバー、君ならどうせ──」
「クィディッチ選手だ！ 僕はずっとクィディッチをして生きていきたい」
「まぁ、極端な奴もいるけど、とにかく将来どうなりたいかのビジョンを持って試験に取り組むことが大事なんだ」
ビジョン……その言葉にピンと来なかったけど、私はとにかく将来の自分の姿を想像した。ぼやけてよく見えない。分からない。私は何になりたいんだろう。漠然と生きてきたから、何になりたいかなんて一度も考えたことがなかった。それに、大人になるのなんてまだ遠い遠い未来の話だと思っていた。
「Aも、今から俺が個人訓練をつけてやればクィディッチ選手になれるかもしれないぞ！ 素質はあるからな──チェイサーなりシーカーなり、君のやりたいのをやればいい、きっと上手いぞ！」
オリバーが瞳を希望に煌めかせながら私に訴えかけてきた。オリバーはいつだって眩しい。特に、クィディッチの時は。クィディッチ選手になった自分の姿を思い浮かべる。青空を滑るように飛ぶ金色のスニッチ、それを華麗に掴み、拍手喝采で迎えられる私──うーん、素敵だし惚れ惚れするけど、多分これは私じゃない。
「いや、Aにはそんなハッキリ言って野蛮なスポーツは向いていないよ。A羽が真面目だから、今からでも猛勉強すればきっと監督生や首席だって夢じゃないさ。ゆくゆくは僕と魔法省に就職出来る可能性もある！」
私の胸元に監督生バッジ、首席バッジがある姿をこれまた思い浮かべる。下級生たちに慕われ、パーシーと並んで学年一の成績を誇り卒業──ないな。第一、私には根気がないし、人を率いていくような能力もない。それに、魔法省なんてお堅いイメージしかない。
「どっちとも私には向いてないよ……」
＿＿
先生と対面で将来を話し合う日がやってきた。次々に生徒が呼ばれ、そして私たちのところへ戻ってくる。項垂れる生徒、曖昧な表情の生徒、自信満々な生徒。オリバーもパーシーも、自信満々な表情で戻ってきた。五年生になった私は、少しだけ、なりたいと思える職業を見つけていた。
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狸ノ木(プロフ) - そると。さん» コメントありがとうございます！ 私も結構気に入っている話なのでそう言っていただきとっても嬉しいです……！ たぶんころっと落ちちゃいますね☺️(そんな機会があればですが！) (2022年4月5日 17時) (
レス) @page37 id: 7569f5552e (このIDを非表示/違反報告)
そると。(プロフ) - 最後のジニーのお話...めっちゃ好きです...あんな言われたら落ちるしかなくない...？？？ (2022年4月5日 1時) (レス) @page36 id: 49e4342c2d (このIDを非表示/違反報告)
狸ノ木(プロフ) - 弁当にトマト入れないでさん» コメントありがとうございます〜！！こんなに素敵な言葉を頂いてもいいんでしょうか……すごく励みになります😭してみたされてみた、また書きたいので出すと思います！ 楽しみにしてて下さい💞 (2022年2月15日 7時) (レス) id: 7569f5552e (このIDを非表示/違反報告)
弁当にトマト入れないで - してみたされてみたまた出して欲しいです！無理だったらすいません!!お話作るの天才すぎ!!めっちゃいいお話だらけ! (2022年2月14日 22時) (レス) id: 2bfe3fce26 (このIDを非表示/違反報告)
弁当にトマトを入れないで - 私もパーシーと、オリバー大好きだから主さんのお話大好きです！ (2022年2月14日 22時) (レス) @page16 id: 2bfe3fce26 (このIDを非表示/違反報告)
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