無彩色の君 / Percy ページ38
「パース！ わたしにもおてがみきたよ！」
最初、パーシーは彼女の勘違いかなにかかと思った。ホグワーツからの入学許可証が同封された手紙が来るのは、自分だけだと思っていたからだ。僕の家族はみんなホグワーツ生だったし、僕には魔法力の片鱗も現れていた。でも、彼女は僕がいなければ生きていけないような、ドジでどうしようもない、言葉を選ばず言うならば、出来損ない──パーシーはそう信じて疑わなかった。
「……えっ、ほんとうか？ 見せて──」
「ほぅら、これ！ きょうかしょ？ が書かれれてたのもあったんだけど、なくしちゃったかも……」
「それは僕のを貸すよ」
元気に頷いて、「ありがとう！」と笑う彼女は紛れもなく、ただの元気な幼なじみだった。でも、物覚えも悪ければ運動神経もイマイチ。人見知りもするし約束もよくすっぽかす。なぜ僕はこんな子の隣にいるんだろう、幾度となくパーシーはそう思った。
それはホグワーツに入ってからも変わらなかった。Aは学年の誰よりも落ちこぼれで先生からも心配されていた。口癖は「大丈夫です」。大丈夫じゃないのに、何も追いつけていないのにそう言うから厄介だ。パーシーは親身になって彼女に勉強を教えたが、実になったのは一部だけで、ほとんどは頭からこぼれ落ちてしまった。
五年生、パーシーは監督生になった。Aは未だに学年一の落ちこぼれで、よく他の生徒にそれでからかわれていた。成績は芳しくなく、幼い頃の笑顔は影を潜め、どちらかというと塞ぎ込むような性格。パーシーは内心、そんな彼女を見て自尊心を高めていた。そんなことは誰にもいえなかったし罪悪感も多少あったが、それが何よりも彼の上昇志向を助けていた。
「あ、あの……パース、レイブンクローの監督生の子と、キ、キス……したって、聞いたけど──」
「まさか、フレッドとジョージから聞いたのか？」
「そ、そう。触れられたくないことだったら、ごめん」
「いや、いいんだ。うん、ペニーとは付き合ってるから」
Aの泣き腫らした赤い目は、スカート丈ほどの前髪に隠れていてパーシーには窺えなかった。本人としては、その方が良かったのかもしれない。二人は紛れもなく疎遠になっていた。目を伏せてばかりの彼女は、まるで背景に溶け込んでしまいそうなほど色が薄くなっている。パーシーでさえ、見逃してしまいそうなほど。
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狸ノ木(プロフ) - そると。さん» コメントありがとうございます！ 私も結構気に入っている話なのでそう言っていただきとっても嬉しいです……！ たぶんころっと落ちちゃいますね☺️(そんな機会があればですが！) (2022年4月5日 17時) (
レス) @page37 id: 7569f5552e (このIDを非表示/違反報告)
そると。(プロフ) - 最後のジニーのお話...めっちゃ好きです...あんな言われたら落ちるしかなくない...？？？ (2022年4月5日 1時) (レス) @page36 id: 49e4342c2d (このIDを非表示/違反報告)
狸ノ木(プロフ) - 弁当にトマト入れないでさん» コメントありがとうございます〜！！こんなに素敵な言葉を頂いてもいいんでしょうか……すごく励みになります😭してみたされてみた、また書きたいので出すと思います！ 楽しみにしてて下さい💞 (2022年2月15日 7時) (レス) id: 7569f5552e (このIDを非表示/違反報告)
弁当にトマト入れないで - してみたされてみたまた出して欲しいです！無理だったらすいません!!お話作るの天才すぎ!!めっちゃいいお話だらけ! (2022年2月14日 22時) (レス) id: 2bfe3fce26 (このIDを非表示/違反報告)
弁当にトマトを入れないで - 私もパーシーと、オリバー大好きだから主さんのお話大好きです！ (2022年2月14日 22時) (レス) @page16 id: 2bfe3fce26 (このIDを非表示/違反報告)
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