事件性ゼロの土曜日 / Bill ページ30
捏造しか含まれません。様々なシチュエーション、パロディ。
＿＿
埃っぽい雑居ビルの三階に入っているのは、最近開業された探偵事務所。立てかけられた看板には、「(名前未定)探偵事務所 (土)(日)(祝)のみ営業」と真新しい文字。その事務所の中に歳若い男女二人がいた。黒檀のデスク、座り心地のよさそうな椅子に座り、頭の後ろで手を組んで窓越しに空を眺めているのは、この探偵事務所の唯一の探偵、ビルだった。その近くのデスクで何やら忙しなさそうに資料を漁っているのは助手のAだ。お世辞にも、二人は相性がいいとは言えなかった。優秀ではあるがいささか奔放で何事も楽しむ傾向にあるビル。激流をもがくように、真面目に肩肘を張って生きているA。普段、二人は別の職場で働き、各々の生活を送っている。土曜日、日曜日、そして祝日。二人が出会うのはその時だけ。
「A、猫探し以外の依頼は来たかい？」
背もたれから体を起こし、ビルが訊ねた。
「いえ。ですが、来ない方が良いんじゃないですか？ 世の中、物騒なことなんてない方が良いかと」
「それはそうだけど、時には面白い事件があったって良いんじゃないかな」
資料に目線を落としていたままだったAが、ビルの方に向き直る。なんだかムキになっているようにも見えた。
「猫探しだって面白いじゃないですか。ビルさんは自分の能力を過信せずにもっと真剣に取り組むべきです」
「僕だって真剣に取り組んでるつもりだけどな。そう、大抵の場合彼らは木の上で縮こまっている。僕たちは真剣に木登りをする」
ビルはなにかを定義をするみたいに人差し指を立ててそう言った。Aは眉を顰める。二人のいつもの会話だ。
「やっぱり馬鹿にしてるじゃないですか……」
Aは束にした資料を持って席を立った。どうやらAが持っている資料が探偵事務所の仕事に関係のない、彼女の本職のものだとビルは目敏く気付いた。驚きから目を瞬いたのち、ビルの形のいいくちびるは微笑んだ。
「そういうAだって、この仕事にほかの仕事を持ち込んでるみたいだけどな。僕の見間違いじゃなければ」
「……見間違いじゃないですか」彼女の髪の隙間から見える小さな耳は熟れたりんごよろしく赤くなっていた。
「見間違いか」
「はい」
「じゃあ眼鏡でも買おうかな。その方が探偵らしい」
「なんでそんなに型にこだわるんですか……」
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狸ノ木(プロフ) - そると。さん» コメントありがとうございます！ 私も結構気に入っている話なのでそう言っていただきとっても嬉しいです……！ たぶんころっと落ちちゃいますね☺️(そんな機会があればですが！) (2022年4月5日 17時) (
レス) @page37 id: 7569f5552e (このIDを非表示/違反報告)
そると。(プロフ) - 最後のジニーのお話...めっちゃ好きです...あんな言われたら落ちるしかなくない...？？？ (2022年4月5日 1時) (レス) @page36 id: 49e4342c2d (このIDを非表示/違反報告)
狸ノ木(プロフ) - 弁当にトマト入れないでさん» コメントありがとうございます〜！！こんなに素敵な言葉を頂いてもいいんでしょうか……すごく励みになります😭してみたされてみた、また書きたいので出すと思います！ 楽しみにしてて下さい💞 (2022年2月15日 7時) (レス) id: 7569f5552e (このIDを非表示/違反報告)
弁当にトマト入れないで - してみたされてみたまた出して欲しいです！無理だったらすいません!!お話作るの天才すぎ!!めっちゃいいお話だらけ! (2022年2月14日 22時) (レス) id: 2bfe3fce26 (このIDを非表示/違反報告)
弁当にトマトを入れないで - 私もパーシーと、オリバー大好きだから主さんのお話大好きです！ (2022年2月14日 22時) (レス) @page16 id: 2bfe3fce26 (このIDを非表示/違反報告)
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