嘘も方便 / Fred＆George ページ1
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それは突然だった。父との別離に、寂しさと不安、それから一抹の安堵を抱えながら見慣れない列車に揺られていたときのことだった。一人きりのコンパートメント。車窓から見える景色は田園地帯ののどかな風景で、私はどこか農園にでも行くのではないかという気分になっていた。でも、これから行くのは学校で、それも普通じゃない──魔法学校。
コンパートメントの外で話し声がする。瓜二つの顔をした赤毛の男の子二人が私を指さして何やら喋っているようだった。
「あの、どうぞ」
シャツの皺を伸ばし、背筋を正してからそう言った。
「聞いたか？ 今、あいつ、『どうぞ』って言った」
「聞いたとも。しかも……髪を結んでる」
「オーウ、マーリンの髭！ でも、そんな変化くらいあったって良いよな──」
扉が音を立てて開く。
「「久しぶり！ 姫！」」
二つ隣のコンパートメントにまで響くんじゃないかという声量で二人は言った。そして、私に抱きついてくる。見ず知らずの人に抱きつかれるのは正直不快だし、怖い。魔法界？ とやらでは、これが常識なのだろうか。勇気を振り絞って、私は声を出した。
「離れて下さい……あの、私どこの国の姫でもありませんし、あなた方とは会ったこともないです」
二人は鳩が豆鉄砲食らったみたいな顔をして、私からおずおずと離れていった。何か、非現実的なものを見た時のような顔をしている。
「五年もすると人って忘れちゃうのかな？」
「それとも僕らが君に『ふくろうびん』出さなかったから怒ってるのか？」
ふくろうびん、って何だろう。ふくろうの瓶？ あっ、もしかして──
「『ふくろう便』ってあれですか？ ほぐわーつ？ からのお手紙が来た時にふくろうが運んできてくれて……私、すごくびっくりしたんです。魔法界じゃ普通なんですか？」
私の目の前で二人は膝をついた。顔面蒼白。私、そんなに気に障るようなことを言ったのだろうか。それとも、魔法界の人たちの中では、私みたいな無知な人間を嘆く傾向にあるのかな？
「まぁ、忘れるのも無理はないさ」
「そうだ。今から始めよう」
二人は顔に色を取り戻し、すっくと立った。私に向かって手を差し出す。握手、すればいいのかな。
「「友達になろう、姫」」
私はそのふたつの手を握る。姫、という呼び方には依然疑問が残るけど──二人が友達になりたいのなら、そうしよう。悪い人ではなさそうだし。
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狸ノ木(プロフ) - そると。さん» コメントありがとうございます！ 私も結構気に入っている話なのでそう言っていただきとっても嬉しいです……！ たぶんころっと落ちちゃいますね☺️(そんな機会があればですが！) (2022年4月5日 17時) (
レス) @page37 id: 7569f5552e (このIDを非表示/違反報告)
そると。(プロフ) - 最後のジニーのお話...めっちゃ好きです...あんな言われたら落ちるしかなくない...？？？ (2022年4月5日 1時) (レス) @page36 id: 49e4342c2d (このIDを非表示/違反報告)
狸ノ木(プロフ) - 弁当にトマト入れないでさん» コメントありがとうございます〜！！こんなに素敵な言葉を頂いてもいいんでしょうか……すごく励みになります😭してみたされてみた、また書きたいので出すと思います！ 楽しみにしてて下さい💞 (2022年2月15日 7時) (レス) id: 7569f5552e (このIDを非表示/違反報告)
弁当にトマト入れないで - してみたされてみたまた出して欲しいです！無理だったらすいません!!お話作るの天才すぎ!!めっちゃいいお話だらけ! (2022年2月14日 22時) (レス) id: 2bfe3fce26 (このIDを非表示/違反報告)
弁当にトマトを入れないで - 私もパーシーと、オリバー大好きだから主さんのお話大好きです！ (2022年2月14日 22時) (レス) @page16 id: 2bfe3fce26 (このIDを非表示/違反報告)
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