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しとしと雨が降る、そんな日の見廻組本部。
そこにやってきていた男の赤い目は、気だるそうに扉から出てくる男と女を写していた。
「お二人とも、おつとめご苦労様で」
『…腹たつな』
ボソッと口に出してそういうAとは対照的に、銀時は物理的。
手につけられていた大きな鉄球を、沖田の方に投げつける。
「ひでえな旦那、わざわざ釈放手続きしてあげたのに」
「へえ〜、そうなんだ！でも逮捕までしたのも君たちのようなもんだよね」
間髪入れずに殴りかけられる鉄球に、沖田の後ろの壁はもう穴だらけ。
銀時は舌打ちを打ち、Aは壁に寄りかかってそれを見ていた。
「それは土方さんとあのボンクラでしょ。俺にゃ罪はありませんよ」
「うん、俺もないけどね！」
沖田が気付かなかった、その一瞬。
彼の顔のすぐ前にまで来ていた鉄球は、銃声音とともに崩れていった。
「どうか、真選組を責めないでいただけますか。責任は全面的に当方にありますので。申し訳ありませんでした、まさか真選組のご友人でいらしたとは…一体どうお伝えしたらいいかわからないので、メアド教えてもらいますか？一日中長文謝罪メール送りつけるんで」
『迷惑以外の何物でもないんですけど』
「じゃあクタバレエリート アット ボコモ ドットエヌイードットジェイピーで」
異三郎は真面目に手に持つ携帯で打ち込んでいる。
「しかし鼻はドーベルマン並みの自信があったのですがね…あなた方からは確かに深い業の香りがしたのですが…ん？あれ？なんか変なサイトに…」
携帯を覗き込んだAはバッと目を背ける。
彼のディスプレイには、どこかの黒髪ロン毛が作ったと言っていた攘夷志士勧誘のホームページが。
壁に向かってプルプルと肩を震わせ笑っている女、“四捨五入したら犯罪者“と沖田に言われている男。二人を視界に入れ、異三郎は口を開いた。
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作者名：なんなん | 作成日時：2021年6月26日 23時
