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「おかえりなさい…。」
「あのさぁ、何やってんの？俺のいないところで2人っきりですか？」
「…へ？」
思ってもいない怒りを向けられ、慌てて北斗くんを見ると般若のようになっていた。
「ちげぇよ！お前に会いに来たの！」
「はぁ？それで都合よくAと2人になろうとしたのか？」
「本当にちげぇから！」
「Aも！樹だからって信用してすぐ開けない！」
「ごめんなさい！歩けるのが嬉しくて…！」
「それで俺に内緒でコソコソ話でもしてたのか？」
「本当に違うの！北斗くん！」
北斗くんが樹くんに詰め寄っていく。止めようと背中にそっと抱きつくと、ほとんど反射的に、北斗くんは体をねじって私の頭を抱いた。
「2人のことBBQに誘おうと思って来たんだよ！北斗がいなかったらドア開かないだろうしと思ってちょっと待ってたら、Aちゃんが出てきて入れてくれたの！」
「…本当に？」
頭の上から怪訝そうな声が降ってきたので、肩に顔を埋めながら答えた。
「本当だよ！別に狙って2人なろうとしたわけじゃないのよ！インターホンを確認したら樹くんで、暑いところで待たせるのは申し訳ないから玄関を開けたの。それで、今までより上手く歩けるようになったの自慢して、お茶を入れたの。」
「Aが言うなら信じる。逢い引きじゃないんだよね？」
「滅多なこと言わないでよ！私と樹くんがそんなことするわけないよ。再三言ってるけど私は北斗くんにしか興味が無いし、そもそも、北斗くんを好きになる人は樹くんを好きにならないし、樹くんは樹くんで私みたいなのは全く好みじゃない。ギャルが好きだから。」
「随分饒舌に言い訳するじゃない？逆に怪しいよ？」
「だって早くわかって欲しいんだもん。好きな人にそんな勘違いされたくないよ。」
「そういうこと？」
「あの、俺のことイチャつくネタにするのやめれる？」
樹くんが気まずそうに言った。人の、というか友人のこういうところを見るのは苦手そうなのが意外だった。
「別にそんな気はねぇよ。…まぁ今回は2人とも違うって言ってるし、信用してるから何も無かったって信じるよ。」
「やっと信じてくれてよかったわ。俺とAちゃんがそんなふうになるわけねぇべ。」
「ただし、次も同じように2人になったら、樹、お前のことを殴る。次来る時は必ず連絡入れてからにしろ。」
「わかったよ！悪かった！」
「Aも俺が来るまで開けないようにしなさいね。」
「わかった。ごめんね。」
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作者名：睡蓮 | 作成日時：2023年5月30日 1時
