四話 本格的な作戦会議 ページ7
夕食後。自室に戻って作戦会議の続き。
「今回は割と大規模になるついでに、Aの事情も配慮しなくちゃァな?」
「って訳で、建物の破壊は最小限。世界線の外が狩場だ」
今は夜九時。能力な微妙に扱える時間帯だ。
太宰が自身の能力で、硝子のコップと人型に作られた紙を使って動かしながら説明する。
まぁ、人型の紙と言っても太宰が作ったものだ。高クオリティのフィギュア並に完成度が高い。
コップの一部側面が歪み、裂け目を再現するかのように隙間を作る。その間から、私の紙人形と丸まった紙の塊が出てくる。
その動きを見ながら、意見交換。
「特級が、そんな簡単に外まで動く?」
「ん?囮は君だよ。上手くやるだろう?」
「はぁ!?」
「いや、妥当だろ。瞬間移動の機動力と裂け目を開く速さからして、今回は手前だ」
眉間に皺を寄せた私を見て、目の前の男共はニッと歯を見せて笑った。
「安心し給えよ。援護はするさ」
「出来ねェとは……云わねェよな?」
この顔面偏差値が高い男共め。思い通りになってたまるか。唸りながら抵抗する。だが──したり顔で見詰められ、流石に押し負けた。
「ああんもう!わかったよ!やるよやりますよ!やれば良いんでしょ!?」
「よく云った!」
「流石はA!私達の期待を裏切らないね」
わしわしと乱暴気味に、二人から頭を撫でられる。くぅ……年下だからって莫迦にしやがって……
撫でる手が止まり、太宰が作戦の続きを見せながら説明。
「中也は外で待機。ユガミが入った後、裂け目に私の包帯を伸ばすから──」
「引っ張れッつー事な。任せろ」
流石は双黒。この世界では犬猿で無いからか、更に息が合っている。説明と同時に、コップの隙間が閉じる。
「その後は直ぐに閉じるのだよ。この世界線に影響が出兼ねない」
「連絡は?」
「念話。使えるだろう?」
太宰の言葉に、眉間に皺を寄せ見るからにげんなりしてみせる私と中也。「うげぇ」なんて二人で言えば、太宰の口の端が引き攣る。
「何なら、糞ダッサイ軍事用無線機を作っても──」
「いや、念話で良いッす」
「念話にさせて下さい」
「宜しい。外に出たら、力は全開放でいい」
ユガミを示した紙を中心に、中也の紙人形と私の紙人形が動く。足には、刺繍糸が巻き付けられており、太宰の紙人形がその先を持っていた。
「囮はA、中也は雑魚処理をしながら、私の伸ばした包帯を張り巡らせる」
「捕縛?」
「正解。後は、親玉に中也がトドメを刺せば終わるさ」
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作者名:道化 | 作成日時:2020年5月24日 1時