�� ページ3
久しぶりに街に出た。もう何ヶ月ぶりだろう。最後に出たときよりもキュッと寒くて、あたりにはチラチラと小雪が舞い散っていた。大人達は早足で歩き、その足元を時々、北風が通り過ぎていく。それとは対象的に子どもたちは季節なんて、寒さなんて関係ないとでもいうようにキャッキャッと笑って何ならチャンバラでもどうよと、隣の家の子と遊んでいる。
突然、ドンッと誰かが背中へとぶつかってきた。思わず振り向く。
「痛ってぇなー！ 何すんだよ！」
言葉遣いは荒いが、身長や顔を見るにまだ寺子屋に通っているようなガキだろう。普通は無視するものだろうが私にはそれができない。故に謝る。
「すまない、怪我してないか？」
目線を合わせながら聞く。しかしこちらを見るのは、先程とは打って変わった怯えた目。さっと顔を遠退ける。見られてしまった。やはり気づかれてしまった。人と違う自分の容姿で無垢な子供を怖がらせてしまった。そう、またやってしまったのだ。
どこからかともなく現れた女ーーこの男の子の母親だろうーーが激しく責め立てる。後ろへと子を庇いながら。
「ちょっと！ うちの子に何するのよ！」
「すみません」
「すみませんじゃないわよ！ 怖がらせてお きながらそんな浅薄な言葉ですむと思ったら大 間違いよ！」
逆上する母親に対してただただ頭を下げるロボットのような私にますます怒りが増したのだろう。フッと表情を無くしたかと思うと次の瞬間、片手を振り上げられた。あぁ、頬を打つ気だなと逃げることもせずそこに立っていた。そっと目をつぶり、その瞬間を待っていた。
しかし思っていたような痛み、そして音はなく、疑問に感じ目を開けると、誰かが自分と相手との間に立っていた。
「おい、それ以上手ェ出してみろ。暴行罪でしょっぴくぞ」
若い男性だろうか。頭の上から低めの声が聞こえてくる。相手の顔はよく見えないが多分、驚いているのだろう。グググと力比べをしていたような腕はいつの間にか力が抜け、ただ持ってもらっているだけと見受けられる。
助かった……と安心していると男性はいきなりこちらを向き、大丈夫かと問うてきた。一応、はい、大丈夫ですと答えておく。余計なことは言わない。もちろん目は合わせない。怖がってしまうかもと言うのが一番だが、保身でもある。
ラッキーアイテム
デニムタイトスカート
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
狗冰(プロフ) - あきらさん» わぁ！はじめてのコメントありがとうございます！もう感謝感激です！これからもこの作品をよろしくですz (2020年2月5日 0時) (
レス) id: aa5a4ed97b (このIDを非表示/違反報告)
あきら - 面白い作品なので毎日ちょっとずつ読んでいこうと思います！！ (2020年2月5日 0時) (レス) id: f3362b0de8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：狗冰 | 作成日時：2019年6月9日 19時
