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そうして迎えた卒業式。

ボロ泣きしてる同級生もいれば、

スンとしてる俺とかAもいる。


あんまり実感が湧かない。

Aと高校生活が最高に楽しく送れたことも

今Aが隣で卒業式に出席していることも、

夢なんじゃないかと思うくらいに。


Aと同じ学びの場にいられるのは今日が最後。

来月からは、独りだ。

それを考えるととても寂しく感じるんだけど、

Aは同じ気持ちだろうか。




『やり残したことない?』



「んーない!高校生活満喫した!」



『そっか。俺やり残したことあるんだよね。』



「えー今日で高校生最後なんだから、後悔よくないよ。」



『だよねえ。ってことで、はいこれあげる。』



ぷちっと取ってAの前に差し出す。

とまどい顔のA。



「なに、これ。」



『え、第2ボタンだけど。』



「そんなの分かってる!」



『ベタだけどいやだった?』



「…いやじゃない。」



『良かった。んじゃあもらってね。』



Aの手を取りボタンをのせた。

耳が赤いのは陽射しのせいかな。


ベッタベタだけど、したかったことだった。

Aの青春に俺がいちばん寄り添っていたかったから。



「龍斗こういう青春マンガにありそうなやつ憧れるタイプだったんだね。」



あ、ちょっとバカにしてるな。



『Aが隣にいる高校生活ならなんでもよかったんだけどね。』



んーって唸るAは仔犬っぽいのに。



『あれ、耳赤くない?顔も赤いけど、どうしたのAちゃん。』









そんなふうにやり返した俺の言葉に、耳を押さえて

抵抗してた君は、全然仔犬なんかじゃなかった。


少し早い開花を迎えた桜が、

俺たちの青春の終わりに華を添えてくれたみたいだった。


暖かな春の風がほおを掠めて、

【ピンク色のオーラを纏ったAの最後の制服姿】

は、とても綺麗だった。



“ねえ龍斗、これからも大好きだよ”



その言葉が青春の最後の1ページを飾って、

寂しさと愛しさに拍車をかけた。

そしてそれは多分、君も同じだったと今は思うよ。



.

ただの予想だけど絶対合ってる→←淡いピンクが君に似合ってた



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作者名:しんくれろ | 作成日時:2019年12月5日 22時

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