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第漆話 ページ9

「っ!?」


肆の型は風を全身に纏うことにより、高速移動や威力上昇に使う事が出来る。


その速度と加速力をのせた攻撃は、互いの木刀を破壊せんとばかりにぶつかり合う。


そして、


ガキィイイインッ


『……………えっ?』


「!!!! おみごとですっ!」


露木の持つ木刀が弾き飛ばされ、カランと地に落ちた。


『えっ、え……? 勝ったの?』


「手加減をしたとはいえ、私から木刀を奪うとは……頑張りましたね」


ニッコリと嬉しそうに私に微笑む露木に、思わず私はキョトンとした。


い、いいのだろうか? 手加減してくれたとはいえ……
いや、手加減なしなら勝てないしね? うん、まぁ?





突然始まった露木さんとの手合わせは、手加減してくれたとはいえ無事に勝利(?)を収めることが出来た。


え、卑怯? 知らん知らん


「さすが、Aさんです。この二年間、本当に頑張りましたね」


『あ、ありがとうございます……?』


よしよし、と頭を撫でられ複雑な気持ち。


「ふふ、流石は私の一番弟子ですね」


『い、一番弟子なんて………そんな』


未だに露木の足元にも及ばないのに、と心中で呟く。
しかしながら、柱最強と名を馳せた露木の修行で、確実にAの腕前は鍛えられている。


「いいでしょう、許可をします」


『許可……とは?』


「最終選別に行くこと………ですよ」


最終選別…………?
あの、最終の選別……?


『最 終 選 別 ですかッッ!?』


(あぁ、ヤバイヤバイ。脳が機能停止してた。
てか、最終選別?え?マジ?あの最終選別でしょ?いや確かに私もそろそろ行きたいなーって思ってましたけども!思ってましたよ!だけど実際に言われると、こう……こうね!?いやー、まさかこうなるなんて (略) だって私まだ最終の型出来てませんし!あ、でも最終選別だから、だれか鬼滅キャラと同期になれたりして (略) ……etc)


あまりの宣言に頭の中が混乱し出す、A。
しかし、しばらく慌ててると額に何らかの感触が伝わった。


『え、師範……?』


「大丈夫、大丈夫ですよ。ほら、深呼吸」


露木は人差し指をAの額手当て、こつんとする。


その瞬間、あまりの恥ずかしさで顔全体が熱くなるのが分かった。
まるで茹でだこのように顔を赤くしたAは、両手で隠して俯いた。


「ふふ、可愛らしいですよ」


『うっ、うぅ〜』


「それで、行きますか? 最終選別」


その問いを聞き、Aは一度深呼吸して目を閉じた。

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作者名:わんフル | 作成日時:2022年4月25日 16時

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