ぎゅってして、好きって言って【狗巻棘】

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＊



″顔見せて″





呪言により強制的に棘くんと真正面から見つめ合う形になる。






なにこの恥ずかしすぎる時間は！！









「もう、いいでしょ…ぉ」


棘「た、たかな！」









はっ、とした様子で掴んでいた私の手首を離す棘くん。
完全に公開処刑だよこんなの…






早くお皿とか見つけなきゃ！そう言って逃げるように少し駆け足に前へと進む。






落ち着け、落ち着くんだA。
こんなことでドキドキしてちゃ棘くんをデートになんて誘えないでしょ！第1関門突破しなきゃ！









「棘く…『ああん？何ぶつかってきてんだよお前』」









へ？何！？ヤンキー？ヤクザ？不良？






きっと私の後ろを着いてきているであろう棘くんを呼ぼうとして振り返った目線の先。





ガラの悪い男2人組に絡まれている棘くん。









…へ？





どういう状況か全く理解出来ない。







棘くんがぶつかったことに対して怒っている？
だとしたら、相手の方が幅とって歩いてたじゃん。









『ほら、早く謝れよ、あ？』


棘「……」


『なにこいつ、ずっと黙ってやんの、気持ちわりぃ』









今、なんて？









「悪いのはそっちなんじゃないんですか！
あなたたちの見た目の方がよーーっぽど気持ち悪いですけどね！！」



『…っこのクソガキ』









殴られる！
そう思って反射的に目をつぶる。









……だけど、衝撃がくることはなかった。









その代わりに、
誰かが殴られた音が、した。









「棘くん！？


…なんで？なんで使わないの？
あんな奴らに気なんて遣わなくていいのに！」


棘「……」


「なんか喋って！このままじゃ、棘くんがっ」


棘「……」









床に倒れ込む棘くんを踏みつける汚い男ども。
″動くな″って、そうただ一言言ったらいいのに…
どうしてこんな状況でも棘くんは…









五「とげー、なんでそんないい子ぶってんの？
お前の身体能力じゃ容易いでしょ。

こうやって、『ぐぁ゛っ』…1発腹に入れるだけなんて」


棘「おーかーかー」


五「Aちゃんの前だからってそんな「ツナツナツナツナツナツナ！」……分かった、分かったって！」






「せ、せんせえええ…来でぐれたぁぁ」

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