レンタル彼氏の、悟さん【五条悟】

story 25 ページ27

＊





「な、なんで…」







なんで






なんで








なんでいるの？








『泣くなよ。今俺怒ってんだけど』








そう言いながらもこぼれ落ちる涙を優しく拭ってくれる。






これは夢じゃない？
私の目の前にいるのは本物の悟さんなの？






分からない。傑と帰っていた記憶は多少あるけどそれからどうなってこうなってしまったのか。






だけど今はそんなことはどうでもよかった。
ただ、ただ目の前の彼を今すぐ抱きしめたかった。








「悟さん…っ！好きです、」








首に手を回して思いっきりこっちに引っ張ったせいで、
うおっと声を出す悟さんに謝る余裕すらなかった。







この匂い知ってる。







本当に、本当に悟さんが目の前にいる。









「好き、…好き」



悟「っほんとAちゃん小悪魔。
怒ることくらいさせてよ、おーい」









聞く耳を持たない私の頬をムニッと掴む。
ほんと馬鹿って、いつもの優しい笑顔で彼は笑った。







ずっとこの笑顔が見たかった。








「…しごと、は…？」



悟「んー？……辞めてきちゃった」








なんで？と聞くとそんな事よりと言葉を遮られる。








悟「他の人の前であんな無防備になっちゃだめ。
分かる？相手が俺だったからよかったものの…
それに仕事仲間でも何されるか分からないでしょ」



「でもこれからは悟さんが守ってくれるでしょ？」



悟「〜〜っ！Aちゃんほんと嫌い」





言葉とは裏腹に強く抱きしめられる。
その後小さく……好きだよと呟かれた。




ふわふわの白髪を撫でて、
不貞腐れるその顔にキスをした。





遅くなってごめんね、と彼もまた私にキスをした。





悟「もう離してやんないから」



「離れないように捕まえててね。
おかえり、悟さん」



悟「ただいま」







レンタル彼氏の悟さんは、




私だけの彼氏になってくれました。









＿＿＿レンタル彼氏の、悟さん。




end

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