届け、あたしの歌（10-3） ページ37
チカチカと、視界が瞬いた。キラキラと無数の星のようなものが世界に降り注いで、ファンタジックな光景が、あたしの視界からアイツ以外の不純物を取り除いていく。
心の底から烈火のように噴き上がったのは、喜び。
あたしだって、あなたと歌えて嬉しい。
楽しい。いつも一人で歌っていたから、余計に。
あたしの声にうまく調和してくれて、気持ちいいくらいのハーモニーを築いてくれる、あなたと。
あぁ、歌っててよかった。
人生の中で、初めて、そう思った。
あたしが少しでも外の世界の圧力に屈していたらきっと、あたしはコイツと出会うこともなかっただろう。
きっと今も塞ぎ込んで生きていただろう。
あたしの「好きな音楽」が繋げてくれた、かけがえのない出会い。
こんなにも音楽を愛して、楽しそうに歌って、盛り上げて、盛り上がってくれるなんて、なんて暑いやつなんだ！
おかげであたしまで燃え上がってしまう。もう、最高なんだ。
あたしも、ﾀﾗﾁｵと歌えてすっごく楽しい！
その気持ちは照れ臭くて直接は言えなかったけど、今も、過去も、そしてこれからもずっとずっと持ち続けるだろう。
二人で歌う限り、ずっとだ。
あたしだって、ﾀﾗﾁｵと歌い続けたい。
……だから、この世界にやってきてからﾀﾗﾁｵが敵サイドにいると知り、少しだけ悲しくなった。
たとえ洗脳されていて、その凶行に確信的な悪意はないのだとしても、あのﾀﾗﾁｵに限ってと信じられなかった。
甘えなのかもしれない。ただのヒーラーであるあたしは男どものように戦えないから、どうにかしてﾀﾗﾁｵを傷つけずに戦うこともできない。
できた傷を治すことしかできない。
とっさにあんな提案をしたのは、あたしが何かしたかったのと単にﾀﾗﾁｵに傷ついて欲しくなかったから。
だから、せめて傷のつかない方法で救うことができたら……それでいいと思っていた。
「ライブ」を聞くまでは。
確かに楽しそうだ、ﾀﾗﾁｵは。
でも観客は全く心の底から楽しんでいない。
全くもって独りよがりなライブだ。
ふつふつと怒りが湧き上がる。誰だ。いったい誰が、ﾀﾗﾁｵの歌を奪ったんだ。
許せない！あたし達から「楽しい」を奪うだなんて！
どこの誰だか知らないけど必ず見つけ出してとっちめてやる。こんな、ﾀﾗﾁｵにﾀﾗﾁｵらしくない歌を歌わせて。
覚悟を決めた。意思が変わった。
この作戦をあたしのエゴじゃなくて、ﾀﾗﾁｵのために遂行しよう。
マイクを握りしめてあたしは口を開いた。
＊
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あんぴーなっつ(プロフ) - かおりのさん» コメントありがとうございます！琵琶ちゃぷの話はかなり気合入れたので、感動していただけて嬉しいです！閲覧ありがとうございました(*´ω`*) (2019年9月15日 22時) (
レス) id: 236992ae33 (このIDを非表示/違反報告)
かおりの - めっちゃ面白いです!琵琶ちゃぷの所すごい泣けました！全然ゆっくりでいいので更新頑張って下さい！ (2019年9月14日 22時) (レス) id: a7a49677e4 (このIDを非表示/違反報告)
あんぴーなっつ(プロフ) - ネコさん» コメントありがとうございます！楽しく読んでいただけて私も嬉しいです！閲覧ありがとうございました(^ω^) (2019年7月16日 16時) (レス) id: 236992ae33 (このIDを非表示/違反報告)
ネコ - 毎回ストーリーにドキドキしちゃってます！www更新頑張ってください！ (2019年7月15日 21時) (レス) id: ab4778a323 (このIDを非表示/違反報告)
あんぴーなっつ(プロフ) - すぷらさん» わっ！コメントありがとうございます！mzmn界隈で見たことのある方から感想いただけて嬉しいです！これからも頑張ります(*´ω`*) (2019年5月27日 14時) (レス) id: 236992ae33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんぴーなっつ x他1人 | 作成日時：2019年3月18日 17時
