月と紅、血と奴隷（8-4） ページ21
どっちにせよ、お前はここで俯いてちゃいけないだろ！！
戦闘は困難を極めている。
九ちゃんは闇に紛れて姿を消しては予想のつかない場所から飛び出して怪力と鋭い爪で攻撃を仕掛ける。
前衛も後衛も対処しきれず次々と傷ついて行く。
俺も一撃でかなり削られ、痛いままの背中、腕、アバラ……もしかしたらどっか折れてるかも。頭からも血が滴る感覚がある。
九ちゃんの〈能力〉の仕組みはわからない。ただの〈吸血鬼〉かも知れない。
けれど、あの怪力に対抗できるのは愛の戦士しかいないだろう。
「愛の戦士、どうしたッ！？突っ立ってると危ねえぞ！！」
「愛ゴリ、そこに居られると結構邪魔なんやけど……」
余裕のないとりなんさんの怒声と植物を介して索敵をするなな湖さんの引きつった声に、愛ゴリははっと我を取り戻して、唇を噛む。
「……ごめん」
そして戦闘の邪魔をしないよう姿勢を低くして、さっと戦線から抜け出した。
何を思ったのか、目眩と全身の痛みのせいでまともに動けない俺の方へと駆け寄ってきた。
その顔は、分かりやすいほどに焦燥に歪んでいて、今にも泣いてしまいそうだった。
床板に張り付いたままの俺の前に、パタリと力なく膝をついた愛の戦士。
「……とりっぴぃ、助けてくれ」
カクカク、と震える上ずった声。
涙ぐんだ赤い虹彩が、救いを求めるようにじっと俺を見下ろした。
まるで、敵の前に倒れ込んだヒーローを見るような、恐怖と困惑と希求が混じり合った、そんな瞳。
「おれは、どうすればいい」
ポタリ、と愛の戦士の頬を伝った透明の雫に、俺の何かがブチ切れた。
「ふっっっざけんなッ！！！！！」
垂れた頭に思い切り頭突きして、愛ゴリの額に俺の血が移る。
愛ゴリが痛苦に呻いて、同時に俺も患部を打ち付けたことによるフィードバックで悶絶する。
涙目になりながら、俺は愛ゴリの胸ぐらを掴み上げて胸の中に溜まったものを全て吐き散らした。
「何がどうすりゃいいだよ知るかそんなもん！！！お前が考えろよ、お前は戦えるだろッ！！！！なんでそんな事俺に聞くんだよ、嫌味か！！！！」
「と、とりっぴぃ……」
額を抑えながら呆然と俺の方を見つめる愛ゴリ。俺は鼻からも液体が垂れてくる感触がして、一旦呼吸を整える。
「大体なんだよ、なんで戦わないんだよ……お前アタッカーだろッ……ズズくんでもなな湖さんでも戦ってたじゃん……ッ、なんで、なんでだよ……九ちゃんだから？だから戦わないのか？」
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あんぴーなっつ(プロフ) - かおりのさん» コメントありがとうございます！琵琶ちゃぷの話はかなり気合入れたので、感動していただけて嬉しいです！閲覧ありがとうございました(*´ω`*) (2019年9月15日 22時) (
レス) id: 236992ae33 (このIDを非表示/違反報告)
かおりの - めっちゃ面白いです!琵琶ちゃぷの所すごい泣けました！全然ゆっくりでいいので更新頑張って下さい！ (2019年9月14日 22時) (レス) id: a7a49677e4 (このIDを非表示/違反報告)
あんぴーなっつ(プロフ) - ネコさん» コメントありがとうございます！楽しく読んでいただけて私も嬉しいです！閲覧ありがとうございました(^ω^) (2019年7月16日 16時) (レス) id: 236992ae33 (このIDを非表示/違反報告)
ネコ - 毎回ストーリーにドキドキしちゃってます！www更新頑張ってください！ (2019年7月15日 21時) (レス) id: ab4778a323 (このIDを非表示/違反報告)
あんぴーなっつ(プロフ) - すぷらさん» わっ！コメントありがとうございます！mzmn界隈で見たことのある方から感想いただけて嬉しいです！これからも頑張ります(*´ω`*) (2019年5月27日 14時) (レス) id: 236992ae33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんぴーなっつ x他1人 | 作成日時：2019年3月18日 17時
