先輩と後輩、絆と契り（6-4） ページ3
基本的に？
ぬーすけ先輩の言葉に少し引っかかりつつも、その場の勢いでうんと頷いてしまった。
そうしたらぬーすけ先輩は「やった」と勝ち誇ったように口元を吊り上げて、いたずらに笑った。
「約束ね、なな湖さん」
座ったまま、子供のようにぐっと手を伸ばして俺の方に小指を差し出したぬーすけ先輩と、小指を繋ぎ合わせて軽く振った。
＊
「………先輩、どうしたんやろ」
先輩と約束を交わした次の日、初めて先輩がこの森を訪れなかった。
〈神域の森〉の端の木々達からぬーすけ先輩の姿があったとは報告されなかったし、一日中気配を張り巡らせても森に踏み込む人間はいなかった。
一日を一人で過ごすことがこんなにも暇なのかと久し振りに思い出して、少し寂しさを感じて、動物達と戯れながら先輩を待ち続け、夜が更けても寝落ちするまで先輩の姿を探し続けた。
こうして朝になってもまだぬーすけ先輩は来ない。
具合でも悪いのだろうか……
居ても立っても居られなくて、中枢部の泉の周りをウロウロとしていると、森の奥地であるここまで響くような、重い銃声が一発、森の南端から発せられた。
「南……先輩の住んでる方角……？」
昨日、ぬーすけ先輩は俺に会いに来なかった。
その事実と先ほどの銃声が、歪に絡んで、繋がったような気がして、
つぅ、と額から流れ落ちた冷や汗が落ちる前に、俺は南へ向けて走り出した。
＊
自分でも今まで出したことのないようなスピードで森を駆け抜ける。
〈神域の森〉の南端がチラリと視界に映ると、一歩を踏み出すことが急に恐ろしくなったが、震える足をそろそろと前に出してなんとか南端までたどり着いた。
そして、眼前の光景に目を疑った。
「………ぬー、すけ、せん……ぱい……？」
一言で言えば、悲惨。
ぬーすけ先輩は身体中を殴られたような痕跡、全身痣まみれで所々に血を流し、ぐったりとうなだれていた。
後ろ手に両手を縛られ、首輪をかけられ、その首輪から繋がっている鎖の端を握っているのは、腰の曲がった一人の老人。
それらを囲むように痩せ型の男女が一斉に俺を睨みつけ、そのうちの一人が天に猟銃を掲げていた。
「……あなたが、〈神域の森〉の『神官』様ですな。なんとも、この男と仲がよろしいようで」
老人が無機質な声で俺に話しかけてきて、鎖をぐいっと引き寄せてぬーすけ先輩の顔を無理やり上げさせた。
ピキリ。こめかみの血管が浮き上がるのを感じる。
「取引をしましょう……どうか穏便に」
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あんぴーなっつ(プロフ) - かおりのさん» コメントありがとうございます！琵琶ちゃぷの話はかなり気合入れたので、感動していただけて嬉しいです！閲覧ありがとうございました(*´ω`*) (2019年9月15日 22時) (
レス) id: 236992ae33 (このIDを非表示/違反報告)
かおりの - めっちゃ面白いです!琵琶ちゃぷの所すごい泣けました！全然ゆっくりでいいので更新頑張って下さい！ (2019年9月14日 22時) (レス) id: a7a49677e4 (このIDを非表示/違反報告)
あんぴーなっつ(プロフ) - ネコさん» コメントありがとうございます！楽しく読んでいただけて私も嬉しいです！閲覧ありがとうございました(^ω^) (2019年7月16日 16時) (レス) id: 236992ae33 (このIDを非表示/違反報告)
ネコ - 毎回ストーリーにドキドキしちゃってます！www更新頑張ってください！ (2019年7月15日 21時) (レス) id: ab4778a323 (このIDを非表示/違反報告)
あんぴーなっつ(プロフ) - すぷらさん» わっ！コメントありがとうございます！mzmn界隈で見たことのある方から感想いただけて嬉しいです！これからも頑張ります(*´ω`*) (2019年5月27日 14時) (レス) id: 236992ae33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんぴーなっつ x他1人 | 作成日時：2019年3月18日 17時
