【mzmn】俺らの世界救済RPG 2nd！

先輩と後輩、絆と契り（6-2） ページ1

「あれ？てかさ、なんでなな湖さん初対面みたいな反応すんの？俺たちもう二度とうんこできないねぇって合言葉だって作ったじゃん」

「知らないし……てか、ここは一般人がホイホイ入ってきてええ場所とちゃうから！出てけ！！」

自らを「ぬーすけ先輩」と名乗った奴は、こてんと首を傾げて俺を訝しげにジロジロと見やる。
しかし俺はこんな奴記憶にないし、もう二度と……みたいな合言葉も知らないし、てかなんだよその合言葉。
とりあえず神域から追い出すために思いっきり睨みつけてやったけど、そいつは全く気にする様子もなくヘラヘラと笑って、俺の足元に腰を下ろした。

「まあまあ……あ、俺めちゃくちゃ腹減ったんだけどなんか食べる物ない？」

「自由かよ！！！」

胡座をかきながらほれほれと手のひらを俺に向けて差し出す奴。
その奔放さに思わず我を忘れてツッコミを入れると、奴は一瞬目を丸くさせて、次の瞬間にはぶふっと吹き出した。
くくく、と口元を押さえて笑う奴に、純粋に怒りが湧いてぼそりと文句を零した。

「……何笑うてんねん」

「いや、やっぱりなな湖さんだなぁって思って」

何を考えているかわからない表情の読めない顔を綻ばせて笑う様子に、なんだかんだ絆されている自分がいる。
この人が人をこますのが上手いのか、それとも今までちゃんとした人間と話すことなんてなかったから寂しかったのか、それはわからないけど。
少なくとも〈神域の森〉に弾かれないのなら、こいつに悪意はない。
それならと、俺は甘い赤い果実の成る植物を成長させて、親株に二つなった実をもいで一つを奴に投げ寄越す。

「くれんの？ありがと」

「……まぁ、悪意がない人間を無理やり追い返すほど森神は鬼やないしな」

ぶつぶつと言い訳のようなことを自分に言い聞かせるように呟きながら赤い実を齧ると、奴も真似をするように実を齧った。

「うっま！！いいなこれ、ねぇなな湖さんまたこれ食べに来てもいい？」

「……たまにならな」

「いえーい毎日集ろう！」

「た・ま・にっていうとるやろッ！！！」

最初から最後まで、ぜーんぶあの人のペース。
翻弄に翻弄を重ねられて、ムカついたし、なんやこいつ、なんて何百回も思ったし。



……それでも、

『なな湖さん』

そう言って笑いかけてくるのは、嫌な気分ではないというか、くすぐったいというか、………なんだか、嬉しかった。

俺が〈神域の森〉の『神官』となってからすぐのこと。
俺は、ぬーすけ先輩と出会った。

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