夜の街と月光祭(7-6) ページ15
「おいッ!!何をしている!?商品を奥に戻せ!また盗られるぞ!!」
多分売り手側の〈吸血鬼〉の怒声が暗闇からこだまして、何やら指示している様子。
やべ、せっかく開けてくれた穴が無意味になっちまう!!
にどみとバケゆかがすごい不安そうな顔でおろおろしてる。
すぐにボロい服を着た男が俺たちの入った檻と、とりっぴぃのいる檻を舞台袖へと引きずっていく。
俺らの檻から見える位置に気を失ったまま縛られているこいろちゃんとmegaちゃんがそっと置かれる。
にどバケはそれに驚愕して何度か檻を蹴ったけど、俺は2人が無事であることにほっとした。
でもここから出なきゃ。このボロ服のやつ、邪魔だな……
檻の隙間からチラッとボロ服の男を睨むと、そいつは檻の天井から顔を覗かせた。
「……ズズ、にどみ、バケゆか!起きてるな?」
「ッ!!」
そいつーーいや、ボロ服に身を包んだ男は、とりなん先生だったのか!!
氷の剣で檻の穴を広げてくれた。
ようやく立ち上がれた俺は先生に手伝われながら檻から這い出る。
後ににどみとバケゆかも続き、猿ぐつわを外される。
「ぷはっ、あー苦しかったこれ!もー何があったのけー!?」
「とりなん先生!無事だったんだね」
猿ぐつわを外されるなり文句を言いはじめるにどみと、涙目になって喜ぶバケゆか。
先生はとりっぴぃとなな湖のいる檻の穴を広げながら、「一時はどうなるかと思ったけどな」と返す。
「バケゆかに逃がしてもらった後、屋敷に乗り込んでそこに居た使用人に服を借りたんだ。お陰で怪しまれずにこの『月光祭』に入り込めた」
意識のないとりっぴぃを引きずり出すとりなん先生が、ボロ服を着てる経緯も説明してくれる。
『月光祭』って、人身売買のこと?
「早くここから出よう。バレると面倒だ」
氷の剣で俺たちの拘束を切り裂いたとりなん先生が、顎で出口を指し示した。
*
その後意識のないとりっぴぃとこいろちゃんとmegaちゃんとなな湖を分担して運び出した後、路地裏に隠れながらこそこそと話す。
どっからか奪って着たカンテラを囲みながら、とりなん先生はボロ服からはんじょう製の服に着替えて、難しい顔をしていた。
「そうか……九ちゃんが、愛の戦士を……」
「九ちゃんも〈吸血鬼〉なら、きっと昼間は活動しないはずだよね」
「そーなると夜明けまでに九ちゃんを正気に戻して、愛ゴリを奪還するのけ?」
それってハードスケジュールだなーとにどみが困ったように頬を掻いた。
だよなぁ……。
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あんぴーなっつ(プロフ) - かおりのさん» コメントありがとうございます!琵琶ちゃぷの話はかなり気合入れたので、感動していただけて嬉しいです!閲覧ありがとうございました(*´ω`*) (2019年9月15日 22時) (レス) id: 236992ae33 (このIDを非表示/違反報告)
かおりの - めっちゃ面白いです!琵琶ちゃぷの所すごい泣けました!全然ゆっくりでいいので更新頑張って下さい! (2019年9月14日 22時) (レス) id: a7a49677e4 (このIDを非表示/違反報告)
あんぴーなっつ(プロフ) - ネコさん» コメントありがとうございます!楽しく読んでいただけて私も嬉しいです!閲覧ありがとうございました(^ω^) (2019年7月16日 16時) (レス) id: 236992ae33 (このIDを非表示/違反報告)
ネコ - 毎回ストーリーにドキドキしちゃってます!www更新頑張ってください! (2019年7月15日 21時) (レス) id: ab4778a323 (このIDを非表示/違反報告)
あんぴーなっつ(プロフ) - すぷらさん» わっ!コメントありがとうございます!mzmn界隈で見たことのある方から感想いただけて嬉しいです!これからも頑張ります(*´ω`*) (2019年5月27日 14時) (レス) id: 236992ae33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あんぴーなっつ x他1人 | 作成日時:2019年3月18日 17時