RPG展開は突然に(1-8) ページ10
「あれはもうダメだな……こっちの積荷も使い物にならん。そっちはどうかね」
「馬が負傷してます。歩けないということはないでしょうけど……」
「馬車も平気です。傷はつけられましたが、動けないほどではないみたいです」
「そうか……」
地図上で〈ニーゴの森〉と名の付いたこの森で、ひとりの老人と二人の藍色のローブをまとった青年がいた。
ううん、と唸る老人は、丁寧に切り揃えられた顎髭を撫でながら、自分が乗ってきた馬車を厳しい顔で眺める。
この老人は、城下町の商人でありこの付近にある村に交易をしに来たのだ。
馬車を走らせ大量の積荷を届けるつもりが、その大事な商品が予想外の事態に陥り、その半分程が売り物にならなくなってしまった。
「噂には聞いていたが、あの『獣の山賊』……かなり厄介だな。このままではこの辺りでの交易が難しくなるぞ」
「そうですね。まさか、たった一人相手に負けるなんて……思ってもいませんでした」
はぁ、とため息を吐いた商人に同調して、馬車を調べていた〈魔術師〉の青年が肩を落とす。
大量の物資を乗せた商人の馬車は賊に狙われやすいために、護衛として〈魔術師〉を二人付けたのだが、最近になって突如現れた『獣の山賊』にあっさりと敗北してしまった。
王都でなかなか腕を上げている〈魔術師〉であったためにタカをくくっていたが、その二人をあっという間に制圧し積荷を奪えるほどにその『獣の山賊』は強かったのだ。
「とりあえず無事な積荷だけでも村に届けなくては……馬車は出せそうかい?」
「はい。一応ですが馬も手当しました」
馬車を引く馬を宥めていた〈魔術師〉が、商人の問いかけに答える。
彼が馬の背を撫でると、頷くように馬が首を垂らす。
「よしそれn「あのぅ……」っ!?何者だ!?」
〈魔術師〉二人に指示を出そうとした商人の言葉を遮るように、大木の陰から弱々しい声がした。
『獣の山賊』のせいですっかり神経質になっている3人は、大木からひょっこ○はんしてる男に向けて戦闘態勢をとる。
「ええと………通りすがりの迷子です……。」
そう涙目でヘッドホンを外しながら、派手な赤いジャージを身につけた迷子は訴えた。
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あんぴーなっつ(プロフ) - 空屋さん» コメントありがとうございます!この話のバケゆかさんなら快く守ってくれると思いますよ笑閲覧ありがとうございました! (2019年3月17日 13時) (レス) id: 236992ae33 (このIDを非表示/違反報告)
空屋(プロフ) - この作品ものすごく好きです!バケりんに守られてぇ…! (2019年3月13日 4時) (レス) id: 8e09062377 (このIDを非表示/違反報告)
あんぴーなっつ(プロフ) - もるさん» コメントありがとうございます!お褒めにあずかり光栄です……!あんまりガンガン更新はできないのですが、完結目指して頑張ります! (2019年1月30日 18時) (レス) id: 236992ae33 (このIDを非表示/違反報告)
もる(プロフ) - 作風とか設定がしっかりしてて大好きです!混ぜメンのキャラにどれも合っててどのメンバーも好きになっちゃいます 更新大変だとは思いますが、頑張ってください応援しています(^○^) (2019年1月28日 18時) (レス) id: 14f50223ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あんぴーなっつ x他1人 | 作成日時:2018年9月16日 20時