神域の守り人(5-3) ページ45
「ようこそ、〈神域の森〉へ」
いきなり現れたじーちゃんに拉致された場所は、俺たちの目的地そのもの……〈神域の森〉らしい。
確かに匂いとか肌に感じる空気もさっきとは全く違う、なんつーか、オーラ?みたいなものがずっと澄んでるっつーか、神聖っつーか……
「えっと、ご招待ありがとうございます……?それで、俺たちに頼みたいこととは?」
とりなん先生でも状況がうまく飲み込めないのか、しどろもどろにじーちゃんに問いかける。
とりなん先生で理解不能なら俺には一生無理だな……
じーちゃんは「長い話になりますが」と前置きしてから、ゆっくりと話出した。
「〈神域の森〉は文字通り森神の住まう“ 神域 ”なのです。故に如何なる邪悪も寄せ付けず、呪いを弾き、醜い欲望を持つものを遠ざける。代々この森の加護を受けし者が森の『神官』となり、神域に生息する神聖な植物と神域の中枢を守るというしきたりがあります」
はーんなるほど……ここは“ 神域 ”だから空気も澄んで穏やかで、悪意が一切ないのか。
じーちゃんは一呼吸置くと、もう一度続けた。
「儂は今までその『神官』だったのですが、もうつい最近その地位を、森の加護を受けた者に引き渡したのです。しかし、其奴が2週間ほど前から急に暴走し、〈神域の森〉を抜け出そうとしたり人間を激しく憎んだり、時間がないと泣き出したり……」
んん、情報量がいっきに増えて、消化不良を起こしてる。
今から2週間前ってことは、俺が洗脳された1週間後ってことか?
「彼奴は腐っても森神の加護を受けた、この〈神域の森〉で最も強い存在。しかも〈能力者〉ときたら、儂にも手に負えんのです。どうか、貴方方のお力で、彼奴の暴走を鎮めてくださりませぬか」
じーちゃんの必死の懇願に、俺たちは顔を見合わせる。
まあ、そいつが〈能力者〉で、俺たちも〈能力者〉で、さらに討伐対象の『悪魔』が〈能力者〉フルコンプしないと退治できないやつなら、俺らの答えはすでに決まってる。
『もちろん!!』
自然に全員の声が重なって、森中にこだまする。
大船に乗ったつもりでいてくれよな、じーちゃん!!
「ッ!?」
ざわり、と森の空気が変わった。
神聖で悪意も穢れもない森の木々が、植物が、一斉に悪意を持った。
肌にぴりぴりとはっきりとした害意を感じて、思わず威嚇する。
「そんな……塔に閉じ込めたはずだ」
「堪忍してや長老……俺にはもう、時間が、ない」
森の奥から響いた声に、俺たちは戦慄した。
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あんぴーなっつ(プロフ) - 空屋さん» コメントありがとうございます!この話のバケゆかさんなら快く守ってくれると思いますよ笑閲覧ありがとうございました! (2019年3月17日 13時) (レス) id: 236992ae33 (このIDを非表示/違反報告)
空屋(プロフ) - この作品ものすごく好きです!バケりんに守られてぇ…! (2019年3月13日 4時) (レス) id: 8e09062377 (このIDを非表示/違反報告)
あんぴーなっつ(プロフ) - もるさん» コメントありがとうございます!お褒めにあずかり光栄です……!あんまりガンガン更新はできないのですが、完結目指して頑張ります! (2019年1月30日 18時) (レス) id: 236992ae33 (このIDを非表示/違反報告)
もる(プロフ) - 作風とか設定がしっかりしてて大好きです!混ぜメンのキャラにどれも合っててどのメンバーも好きになっちゃいます 更新大変だとは思いますが、頑張ってください応援しています(^○^) (2019年1月28日 18時) (レス) id: 14f50223ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あんぴーなっつ x他1人 | 作成日時:2018年9月16日 20時