重なる想いと記憶の残響(4-7) ページ40
「なぜわからないのか、お聞きしても?」
つきよさんのわからない宣言に俺たちも頭の中がはてなマークでいっぱいになった時だ。
頼れる男とりなん先生が、考え込むように難しい顔をしながらも冷静につきよさんにその理由を尋ねる。
「実は、『悪魔』が封印された次の日には〈能力者〉はそれぞれの〈能力〉を無くし、普通の人に戻ってしまうのです。それと同時にあらゆる手法で記録した文献や資料も、消えてしまいます。もちろん人の記憶からも『悪魔』や〈能力者〉の情報だけが、綺麗さっぱりと無くなってしまうんです。なので、歴代の〈能力者〉や『悪魔退治』のやり方は誰にもわからないんです。当然、その年の〈能力者〉本人も」
つきよさんの話を聞きながら、何人かが首をかしげる室内。
だから愛の戦士……いや、彼はゴリラなんだ。仕方ない。
つまりはこういうことだ。〈能力者〉は神によって選ばれ、その〈能力者〉は個々によって違う〈能力〉を授かる。
しかし〈能力者〉は使命である『悪魔退治』をまっとうすると、ただの一般人に戻ってしまう。
その間の記憶や資料は一切残らず、「『悪魔』は退治された」という記録は残るが、「誰が〈能力者〉だったのか」という記録や記憶は残らない。
なんだそれ、本当によくできたRPGじゃん……と、RPGあるあるにありそうな設定のオンパレードに思わず感心してしまう。
その中でひときわ大きくうんと唸ったmegaちゃんがガタンと派手な音を立てて椅子から立ち上がる。
その音にビビって俺は思考を現実に引き戻され、megaちゃんが胸を張りながら高らかに笑う。
「よくわからんけどとにかく、あたし達は他の〈能力者〉を集めて、ドァーッと『悪魔』をぶちのめす!!って事でしょ?方法は頭良さそうな人たちに任せよー!!」
九ちゃんとかさ!と九ちゃんに全責任をさらっと押し付けて爽やかに笑うmegaちゃん。
確かにそうだ。雲行きは怪しいとはいえ、『悪魔退治』なんてたいそうな使命を任されてしまった俺たちは、もう草の根をかき分けてでも前に進むしか道はない。
先のことは先の自分達に任せよう。
だって俺たちはぼっちじゃない。
きっとなんとかなるだろうし、なんとかしてくれるさ!九ちゃん辺りが!!
megaちゃんの超能天気論に侵された俺たちは急に気が明るくなって、せーので拳を突き上げた。
『明日があるさ!!』
兎にも角にも、まずはまだ集まっていない奇数番号達を回収しようか。
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あんぴーなっつ(プロフ) - 空屋さん» コメントありがとうございます!この話のバケゆかさんなら快く守ってくれると思いますよ笑閲覧ありがとうございました! (2019年3月17日 13時) (レス) id: 236992ae33 (このIDを非表示/違反報告)
空屋(プロフ) - この作品ものすごく好きです!バケりんに守られてぇ…! (2019年3月13日 4時) (レス) id: 8e09062377 (このIDを非表示/違反報告)
あんぴーなっつ(プロフ) - もるさん» コメントありがとうございます!お褒めにあずかり光栄です……!あんまりガンガン更新はできないのですが、完結目指して頑張ります! (2019年1月30日 18時) (レス) id: 236992ae33 (このIDを非表示/違反報告)
もる(プロフ) - 作風とか設定がしっかりしてて大好きです!混ぜメンのキャラにどれも合っててどのメンバーも好きになっちゃいます 更新大変だとは思いますが、頑張ってください応援しています(^○^) (2019年1月28日 18時) (レス) id: 14f50223ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あんぴーなっつ x他1人 | 作成日時:2018年9月16日 20時