日向と木陰 (大学生Ver.)11

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「ではお前らの婚約を祝って乾杯。」
いつもの調子で淡々と言う林に慧が、
「ありがとう！……俺、幸せになるね！」
林のグラスにカチンっ、と笑顔で自分のグラスを合わせる。
林にはどうせ筒抜けになっていると思っていた俺は動じずにビールを呑んだ。

しばらくは就職の事には触れずに楽しい話に美味しい料理にお酒にと、盛り上がった慧が生ビール1杯呑んでパタンと眠りについた。もちろん俺の膝枕で。


それからは林と2人での話が始まった。


林は俺が悩みを口にしてから、最近どことなく元気の無いのを見て心配してくれていたらしい。

「中島は真面目だからな。伊野尾ははっきりとしたビジョンがあるけど自分には無くてどうしよーって焦ってんだろ？」
痛い所を突いてくる。
「………うん、そうなんだ。就活は今からだって分かってるんだけど不安で。お互いの気持ちで、だけど婚約しちゃったし尚更しっかりしなきゃって……。」


やりたい事を仕事に出来るなんて思ってはいない。
けど、じゃあ出来る事って何だろう？

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