日向と木陰 (大学生Ver.)11

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「……ゆーと、こっちこっち！」

入ってすぐの右側の座敷に座った慧が手を振ってくるから、
「遅くなってごめん。」
と謝ると、
「全然！はい、ゆーとは俺の隣ね！」
手前側の奥に座った慧が自分の座った横の座布団をバンバンと叩く。

そして慧の正面に座った林が、
「おぅ、急に悪いな。ちなみに伊野尾は嘘ついてるから。ゆーと遅い、誰と電話してるんだろーって可愛く怒ってたぞ。」
「なっ、林！なんでバラすんだよ！！」
慧が怒るけど林は気にせずに、
「はいはい、じゃあ生でいいな。伊野尾も今日は呑めよ。……中島、今日はお祝いと、それからお前の悩みを聞こうと思ってるから伊野尾には早く潰れてもらおう。」
なんて言う。

「俺の悩み？」
そんな事、林に話したっけな？と思っていると店員さんを呼んで素早くお酒とアテを注文する林が、
「就職の事。あ、それから焼きおにぎりも。」
去り際の店員さんに慧へのであろう注文もすかさずする。

そして俺は思い出した。
実は2年生の終わり頃に、林に就職の事で悩んでるって話しは少ししていたんだ。

「………………。」
途端に顔が曇る俺に、
「まずはお祝いからしよう。」
林が優しくそう言った。

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