日向と木陰 (大学生Ver.)11

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梅雨も明け、慣れない出来事をこなしていく日々。

いつもは何か素敵な事があるんじゃないかと期待したくなる夏の太陽の光も、今はスーツを着た体から体力を奪っていくだけだった。


接客するのも好きだけど、何か黙って一人で打ち込む作業も好きだ。
けど、そんな職種は数多もある。
……ていう事は、少しでもこれをやってみたいと思って始めてみるのが重要なんじゃないか……。

色々な会社の資料を読んだり、実際に体験したりしたけど、よっぽどのやりたい事という意思がない限りはどんな仕事もある程度自分に合うと思ったらそれでいいんじゃないかな。


なんて相変わらずぼちぼちと夏休み中も就職活動をしている俺には、別に心配な事があった。

たまにバイトで顔を合わせる慧がどことなく元気がないという事だ。
聞いて欲しい事があるならすぐに言ってくる筈だけど何も言わずに儚げに微笑むばかりで。

俺は待っていた。慧からのアクションを。
それしか出来ない。



その日は暑くて、色々やる事をこなした後に家に着いた夕方。
部屋に入って、明日は何も予定がないなとスーツを脱いでひと息つこうとしていると………やっと来た。


ラインの着信音に携帯を開くと恋人からひと言。


『会いたい。』


そのひと言に、辛いも寂しいも苦しいも読み取れる。


『すぐに車で迎えに行くよ。』


返事は既読で充分だ。


着替えてる暇なんてない。
俺は今、慧の事しか考えられない。

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