▽12本題に入ろうか ページ12
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「っあー、腹イテぇ」
「落とした灰で服コゲちまったわ〜」
「はー、よく笑ったねー」
笑い転げて居た3人は各々虚脱感に襲われているみたいだった。
「笑った笑った」と何やら満足げな“彼ら”に対して、
瞳は不機嫌そうに昴を半ば睨み気味に見つめていた。
そんな視線ですら、彼を楽しませる一つの要素でしかないらしく。
「あー。まぁとりあえず話があるから座れ」
さも楽しい、というような表情のまま、テーブルを挟んだ彼の正面にある1人掛けの赤いソファーを瞳に勧めた。
そこ、私の席なんだけど。
既に1限も終わりがけの時間だから、早く帰してあげたい。
「……」
無言のまま、昴に進められたソファーに座る瞳。
ふかふかなソファーは、ボスンと音を立てた。
テーブルを囲む全員の顔を一通りぐるっと見渡すと、誰もが楽しげな表情。
もう流れに身を任そう。さっきまでもそうだったけれど。
そう思って私が息を吐くのと同時に。
「...ヨウヘイ」
昴が、ここには居ないオレンジを呼んだ。
まだ登場していない名前だからか、
きょときょとしている瞳。
カチャっと、
部屋の隅にあるシルバーのドアが開いた。
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作者名:雪姫乃 | 作者ホームページ:http://ip.tosp.co.jp/i.asp?i=season1999
作成日時:2017年10月10日 19時