アタッカー復帰男子【ワールドトリガー】

アタッカー復帰男子6 ページ7

「偵察機(ラッド)がまだ残ってる、って……」

「はあ？何それ」

風間さんの言葉に、歌川は眉を寄せ菊地原は声を歪めた。

何でも、警戒区域内で微量ながら複数のトリオンが確認されたとのこと。
司令部はこれをラッドと判断し、ゲートを開くおそれもあることからA級に殲滅を指示した
…………という流れらしい。

「相手に逃げる隙を与えるな。情報を持ち帰られるとやっかいだ」

「要は速攻で倒せってことですね」

「まあ雑に言えばそうだな」

「あー、めんどくさ…………」

菊地原がけだるげにトリガーを手に取る。
久々の隊服に袖を通して、俺たちは曇り空の下へと繰り出した。





風間隊の担当は、警戒区域の南、ボーダーの建物がだいぶ小さく見えるあたり。
コツコツと、足音がいやに大きく響く。

「さっさと終わらせましょう、これ俺が疲れるんですから」

「毎回使ってすまないな」

菊地原の強化聴覚を共有しているからだ。しかしこれ、本当によく聞こえるな。

「菊地原っていつもこの感覚で生活してんの？」

ふと気になって、実は聞けていなかったことを尋ねてみた。

「もうよくわかりません。でも意識して使うことはそんなにないです」

「例えば？」

「盗み聞き」

「おいこら」

聞いてはいけないことを聞いてしまった。
なんて、それぞれ適度に警戒しつつ進むうち、





「…………右」

菊地原の声と同時に何かが小刻みに動く音がした。
そこに向かって風間さんの投げたスコーピオンが飛び、がしゃっと音を立て崩れる何か。

スコーピオンの飛んでいった路地に入ると案の定、

「ラッド…………」

わずかに火花を飛ばすラッドの姿。

「他も同じように狩っていくぞ」

そういった風間さんがスコーピオンをラッドから抜いた時だった。

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