_+第16話+_ ページ17
Aside
空は雲ひとつなくて、澄み渡っている。
「こんな暖かいと眠くなっちゃうな…」
今いるのは城の最上階、の廊下にある長椅子。
もうここは私の休憩場所として馴染んでしまった。
掃除を初めてからもう5日。
オビさんを手伝った昨日を除いてだけれど、ほとんど丸一日使ってやっているというのに、一向に終わる気配はない。
改めて周りを見渡して見ると、やっぱりアリス城とは全然違った。
あの城は、広さはウィスタル城の半分ほどだったけれど頻繁に解放日があって、たくさんの民と話せた。
最近腰の調子が良いと嬉しそうに報告してくれる老人、新しい遊びを発見したから遊ぼうと手を引いてくれた少年。
優しい人がいっぱいいて、暖かくて、楽しかった。
思い返していると瞼が次第に重くなっていき、私はそのまま眠りに落ちた。
「――、おーい。大丈夫か。」
誰かに呼ばれてる気がする。そっか、私、掃除してる途中で……
「っ……!!」
「うおっ、びっくりした。」
飛び起きると、目の前には少し屈んで私を見ている知らない人。
綺麗な白髪に青い瞳を持った端正な顔立ちで、腰に剣をさげている。
「悪い、こんな所で寝てるから具合でも悪いのかと思ってな。元気そうでよかった。」
「ご心配おかけしてすみません……」
謝ると、その人は笑って首を振る。
「いいさ。それよりお前、名はなんという?見覚えのない顔だ。」
「Aといいます。」
「そうか、Aか。良い名だな。」
会話をしていると、年の割に堂々とした態度に何か引っかかる。
「失礼ですが、貴方は……」
「ん?あぁ。
―――――俺はゼン。よろしく頼む。」
ゼン……ゼンって……もしかして……
「…………ゼン・ウィスタリア王子……!?」
「お、名前は知ってたか。一応この国の第二王子だな。」
兄上ほどしっかりしてないがな、と笑うと、私の隣に腰を下ろす。
「まさかゼン王子だったとは知らず……ご無礼をお許しください。」
よく見れば確かにイザナ殿下と似ているような気がする。
この人も、イザナ殿下と同じような人かと思ったけど、そうではないようで。
「今ちょっと仕事を抜けてきてな。兄上が大量に仕事を寄越してくるから休む暇もない。」
舌打ちする様子から、意外と親しみやすいのではないかと感じた。
ラッキーナンバー
8
ラッキーアルファベット
X
161人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
+紺+(プロフ) - 蓮さん» コメントありがとうございます*_ _)更新は相変わらず亀ですが、最後までお付き合いしていただけると有難いです! (2019年6月15日 0時) (レス) id: 09acaf470e (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - とても面白いです〜!無理しない程度に更新頑張ってください(*´∀`)♪続編楽しみにしてます! (2019年6月12日 19時) (レス) id: 9aedb32105 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:桐ノ葉 | 作成日時:2015年9月21日 22時