21.T ページ21
〆．
「その話、詳しく聞かせてや」
望の目が笑ってない。顔自体は満面の笑みやねんけどな。
しげがまさかの告白された、という話になって、さっきまであんなに大笑いしとったのに。
腹抱えて、涙流すくらいやったのに。
俺と望が二人で話してたとこにある女の子三人組が通りかかって、
たまたま聞こえてもうたんよ。
「中間Aに言ってやった、重岡に近づくなって！あんたのせいで、重岡のこと好きな子がアピールできないって！私が振られたんあんたのせいや〜言うたら泣いてやんの、あの子」
きゃはは、と笑う甲高い声に、
望の拳がグッと握られたのを見て慌ててなだめた。
んで、今に至る。
詳しく聞かせてや、言うて全部聞いたも同然やけど……。
「で、でもっ！嘘ちゃうし！私も友達もっ、重岡のこと好きやのに、中間さんのせいで……っ」
「しげの一方通行やん。別に、四六時中一緒おるわけちゃうし。名前忘れたけど、あんた同じクラスやろ、Aちゃんよりチャンスあるやん」
望はめんどくさそうに頭をかく。
「勝手にアピール頑張れや、Aちゃんのせいにすんな。あんたが振られたんはその性格のせいやろどう考えても」
望ってなぁ。こんなイケメンやのになぁ。
「てか、誰でもええからしげのこと振り向かせられへんわけ？役立たんわ」
口が悪くて、自分のことちょっと棚に上げて、若干Aちゃんへの気持ちが漏れてんのが残念ポイントやな！
「とりあえず、Aちゃんのこと泣かせたんがめっちゃムカつく。それを笑いながら話してんのもムカつく」
さて。
望が「少年Ａ」に名前を変えんうちに、退散しよか。
〆．
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作者名：はゆな
| 作成日時：2018年5月27日 14時
