きづけ、ばか

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「なぁー」

「なにー？」

「何もない」

「あ、そ」




「なぁーー」

「なんや」

「何もない」

「あ、そ」

ラーメン屋さんに行こうと、２人で車まで歩いて行っていると、変な絡み方をしてくるシゲ。

前からウザ絡みだけは得意なやつだ。

このくだりも何回やったことかわからない。









前と違うのは、２人の手が繋がれているということ。





「なぁーーー」

「はぁーーい」

「何もない」

「あ、そ」




「なぁーーーーってば」

「んー？なにってば」

「かわいい」

「あ、…！？」


急に変なこと言うのやめてほしい。




「やっとこっち向いた」

そうやってニコニコされるたびに、こっちの心臓がどうなってるのか知ってるのかコイツは。



「…あ、ほ」

「真っ赤な顔して言われると、どんな言葉でも嬉しいもんやな〜」

「…っっ！！！！もうシゲのばか！！！」

「あはは」






…私ばっか、ドキドキするやんか




「…なぁ」

「なんですかー、Aちゃん」






「…大毅っ」


首を傾けて、驚いたようにこっちを見てくる。

可愛い顔、しやがって。


私だって、この可愛い顔を真っ赤にしてみたい。

私だって、ドキドキ、させたい。









「大毅、すきっ」







「…」


…おっと？外したか？

え、うそうそうそ。

シゲ微動だにせんけど。えっ。

なにこれ。私が恥ずかしいだけやん、これ、えっ。







「……っく」



急にしゃがみこむシゲ。

綺麗な手で顔隠しやがって。

肩震えてるし。笑ってるやろ絶対。







「笑うな！！ばかシゲ！！」

無理やり手を引っ張って、笑っているだろうその顔を覗く、




「えっ、」








と、そこにあったのは、真っ赤になった顔。



「っ、見んな！！」






顔を抑えたまま、すーーーーっと息を漏らしながら立ち上がったシゲが、私を引き寄せて、首に顔を埋める。





「ぅ、くすぐった、」

「今のは、完全にお前が悪い」



「…だい、き？」

「……っだぁぁぁあ」


私を抱きしめたまま、体を揺らすシゲ。

ユラユラと揺らされる私。






幸せ、だ。

間違いなく。

世界で１番、私が幸せだと思う。



何年も思ってて良かった。

シゲに会えて良かった。



「…ほんまに、好き」


「お前さぁ…そういう可愛いことされるたび、俺がいろいろと必死で我慢してんの、









.





.





.




.




きづけ、ばか」



fin.

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