2-6 (ユエル) ページ34
・・・
場所は変わり、ここは薄暗い牢獄。そこには、チェシャが、繋がれていた。罪人に付けられるような、木製の手枷に、首輪。チェシャは、目をつぶって、力なく牢獄の壁にもたれかかっていた。
そこへ、カツカツと足音が聞こえる。チェシャは、気だるそうに目を開け、自信の入る牢獄の入口で立ち止まった人物に目をやる。
｢貴方も堕ちたものですね。この程度の暗闇、昔の貴方なら、見失うことも無かったはずですよ｣
｢……｣
｢まぁいいでしょう。…とは言え、あの
次会う事があればーー全力で排除なさい｣
｢……｣
「良いですね？」
｢……はい｣
｢ああ、それからあの
あの白の
｢……｣
「分かって、いますね？」
「…望み通り、排除を」
「ええ。それでいい」
全ての返事に一言で返すチェシャ。しかも、全てYESだ。間髪入れずに返事をしているところを見ると、もしかして、何も考えていないのかもしれない。
ホワイトは、相変わらず光の無い目でどこを見ているか分からないチェシャが返事をした事に満足したのか、踵を返し離れる。が、何が気になったのか、
チラリとチェシャをもう一度見た。
光の無い目は変わらないが、珍しく一点を見ているように見えて、ホワイト暫くじっと見た。が、変わりはない事を確認し、今度こそ離れていった。
ホワイトが去って行き、残されたチェシャは、ぼんやりとする頭で、ハッターと少女(名前は何だったか。名乗ってもらったのに、思い出せない)と対峙した事を思い出す。
(…良かった、か)
思わず漏れたその言葉。何故だか、分からない。
今の靄のかかった頭では、自分が今何をしているのかさえ、記憶に留めておくのは難しい。
安堵なんて感情、もうずいぶんと久しぶりだった。
忘れてさえいたのかもしれないと思う。
「オレは…まだ、『イキテ』たんだな」
声に出してみて、思ったよりその事を実感した。
オレは、まだイキテいる。ほんとうに？オレは、イキテ、いるの、か……？これも、？
わからない。わからないが、あと一つ、願うなら。
もう二度と顔も見られない場所に、あいつが居ればいいのに。
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ユエル(プロフ) - クルルさん» コメありがとうございます！不定期更新ですが頑張りますね(^^) (2021年1月11日 13時) (
レス) id: 673d6f73a6 (このIDを非表示/違反報告)
クルル(プロフ) - めちゃくちゃ面白い！！！！サイコーです！！続き待ってます！！ (2021年1月3日 23時) (レス) id: 297c8a2c3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユエル×日向なつ x他1人 | 作者ホームページ：
作成日時：2017年5月21日 1時
