2-7 ページ35
――あぁ、あの日だ。いつも通りだったのが、変わったのは。
あの日は、次期女王陛下の誕生日の前日……。
(あなたが、わたしの
(王女殿下!?と言うより、オレが殿下の!?)
(ふふ、そんなに驚かないで。ねぇ、あなたの名前は?)
(オレ……私は……、御前に控えますはチェシャ・クティノス・キャットでございます。どうぞ、これより臣下を名乗るお許しを)
そうだ。そう名乗って、頭を下げた。そしたら、あの女王はくすりと笑って、「そんなに畏まらないで」って言ってたな。
当時のオレは何も聞かされてなかったから、驚いたんだ。
聞けば、王女殿下には、事前に明日の誕生日の式典で誰が教育係となるかを知らされていたようだった。
キャット家の一人息子だ、っていう風に。
で、母さんとハッターにその事を伝えたら、さして驚かれず、むしろ頑張れと、激励?してもらったんだ。
(オレ、王女殿下の教育係、らしい)
(あら。それは頑張らないといけないわね。でも、貴方なら大丈夫よ、チェシャ)
(ま、お貴族坊ちゃんには丁度いいんじゃねーの。兵士よりは)
(へ、うるせーやい!)
(なんだとー!人がせっかく言ってやってんのに!)
そうだそうだ。それで結局、小突き合いに発展して母さんに怒られたんだったか。
で、
思い出したくは、ねーな。
オレはそう思うのにどうしてか、式典の前日の事を思い出した後、自然と
オレは、オレ、は……あの時、どうすりゃ良かったんだ?なぁ、教えてくれよ、頼むから……!誰か、オレに“正解”、を……。
そこで急にオレは、何もかもどうでもよくなった。
そうだ、喚いたって変わらない。
思っていても、変わらない。
変わらないんだ。
あぁ、オレは今、イキテいるのか?
そう思って、自分の腕に噛み付いた。
イタミが、ある。血が、流れてる。
なら、オレは、まだイキテる……。
安心して、オレはそのまま、半ば気絶するように、意識を手放した。
・・・
8人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「トリップ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ユエル(プロフ) - クルルさん» コメありがとうございます!不定期更新ですが頑張りますね(^^) (2021年1月11日 13時) (レス) id: 673d6f73a6 (このIDを非表示/違反報告)
クルル(プロフ) - めちゃくちゃ面白い!!!!サイコーです!!続き待ってます!! (2021年1月3日 23時) (レス) id: 297c8a2c3d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ユエル×日向なつ x他1人 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年5月21日 1時