百六十三話 胡蝶の毒論 ページ30
そしてようやく炭治郎も次なる試練、実弥の元へと向かい屋敷を出て行った。
「フゥ……」
「太刀川さん。」
「うぉっ」
背中をツンツンされて振り向けば胡蝶妹が姿勢良く立っていた。
「どうした。お前は柱稽古しねぇの?」
「えぇ。諸事情で」
しおらしい雰囲気の胡蝶妹。
取り敢えず立っているのもアレなので縁側に座らせ茶を出す。
「で?何の用だ。」
「太刀川さんは……私は上弦ノ弐に勝てると思いますか?」
こちらを見ずに胡蝶は俯いてポツリと俺に問いかけてくる。
現在、生存している柱の中で胡蝶カナエを殺した鬼と接触しているのは俺ただ1人である。
「無理だろうな。」
「そう…ですか…」
「お前は弱くない。誰よりも速いし突きの力も特出してる。」
でも上弦も甘くない。
彼女の毒を解毒する力が備わってる可能性がある上に上弦ノ弐は女に執着している。
「でもね、太刀川さん。それは私も分かってます。だから貴方に頼みたいことがあるんです。」
悲しそうな、眉じりを下げ儚い笑顔を浮かべる胡蝶妹。
数年前の彼女からは考えられない、消えてしまいそうな表情だ。
「カナヲを…あの子を助けて下さい。」
「カナヲは女の子だろうと鬼殺隊の一員だ。」
「えぇ。私もあの子の強さも覚悟も理解してます。その上で貴方にお願いしたいんです。」
ポツリポツリと、胡蝶妹は自分の身体に大量の藤の毒を服毒していること、己が死んだ後で上弦ノ弐を弱らせトドメを刺して欲しいことを話した。
「カナヲは強い。それでも私のこの体内の毒が上弦ノ弐にどれだけの致命傷を与えられるか分からない。」
「上弦は規格外。確かにカナヲが確実に殺せる確証はないな。」
「はい。私の命なんてどうでもいいんです。けど、あの子は私の希望なんです。」
カナヲが首を斬る為の手助け。
それは胡蝶妹の命を引き換えに叶えることの出来る願い。
「お前は……ひどいやつだな胡蝶妹。」
その役割を俺に任せるあたり、お前は俺が本当に嫌いなんだな。
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菜穂(プロフ) - 瑠碧さん» すみません間違えて違う人にレスしてました。ピクルーのキミの世界メーカーだったと思います (2022年1月16日 14時) (レス) id: 97df43ce45 (このIDを非表示/違反報告)
マロン - 百五十五話のヘルメットって壱とかでやりすぎ都市伝説でてきてるんで今更ですよね() (2020年10月2日 20時) (レス) id: 31c3af07a3 (このIDを非表示/違反報告)
瑠碧(プロフ) - 壱から読んできました!とても面白いです!ところで、このイラストって、何メーカーさん使ってるんですか? (2020年9月5日 10時) (レス) id: 3cee96974c (このIDを非表示/違反報告)
うんうん - しのぶちゃん生きて欲しい。そして、二人の恋愛が見たい!!これは私の願望なので、決まったオチで構いません(上から目線でスミマセン)ですが!二人のそういった絡みは見たいです!! (2020年8月17日 1時) (レス) id: 0f3063d9b8 (このIDを非表示/違反報告)
ぽみぃ(プロフ) - その癖は今回は直さなくて大丈夫です‥‥とっっってもおもしろいので!!終わり方気になります!何から目線って感じですが、書きたいように書いちゃって下さい!私はそれが一番好きです!!ギャグもシリアスも最高!! (2020年8月16日 20時) (レス) id: 9044165cab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:AOI 3 | 作成日時:2020年7月23日 20時