霊柱は胡散臭い 肆【鬼滅の刃】

百六十八話 大爆発 ページ35

「良い太刀筋だな。俺より綺麗だぞ」


「滅相もないです…！」






今日は柱稽古を無一郎と行い、流れた汗を手ぬぐいで拭う。

既に外は暗くなっており、まるで嵐の前の静けさかのように辺りは静まり返っていた。





「そろそろご飯に…！」





バサバサと鴉が屋敷の周りを飛び、伝令を大きな声で叫ぶ。







「緊急招集―――――！！産屋敷邸襲撃ッ！！」

「は…！？」





すぐさま刀を腰に差し無一郎と共にお館様の屋敷へと全速力で向かう。

あの方は己の命の優先順位が異常に低い。護衛は歴代の産屋敷家当主の誰一人としてつけなかった。

それは、あの方の長所でもあり直して欲しいところでもある。






「お館さ…―――――！」





·




ドン!!




地を揺らす程の大爆発が起こり、屋敷の周り一帯が炎に埋め尽くされる。





「爆発…お館様自らがやったのか…」

「Aさん…」





俺の羽織の裾を無一郎が握り締める。

噎せ返るような血と爆薬の匂い、顔を焼き付けるような熱気。それはお館様の"死"を証拠付けるかのような不快さだった。





·








·





――――A、君は誰よりも人の気持ちが分かっているんだ。

だから――――――。









「己を信じて大切な物を守るんだよ」









「また守れなかったよ…お館様」





アンタがいてくれたから……



俺は実弥や宇随や伊黒や…しのぶや無一郎や皆と出会えたんだ。




「鬼舞辻…無惨！！」




日本一罪深き、憎たらしい悪鬼。

お前を絶対に俺は……俺たちは許さない。

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