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61杯目 ページ15

それから私は施設に入れられた。

そこには沢山の子供と大人がいた。

皆笑っている。

私はそれをするやり方を知らない。

女の子が声を掛けてくれた。

「貴方新しい子? 一緒に遊びましょ!」

その子は私の手を取り、向こう側へと走った。

私は上手く走れずに転んでしまった。

大丈夫!? と驚いた声で私を起こしてくれた。

私は頷き、今度は歩いて向かった。

私は遊びを知らなかった。

その子は丁寧に教えてくれた。

私の心に空いたナニかがナニかで埋まっていく。






「ご飯?」

「そうだよ! ここのご飯は美味しいよ!」

「それは何?」

「え!? ご飯知らないの!?」

ここに来て大分言葉というものを覚えた。

会話も出来るようになった。

私はご飯を食べていた記憶がない。

それ程重要なことでもなかったのだろう。

各々が席につき、元気よく

いただきますっ!!

と言ったあとご飯を食べ始めた。

私は箸を使えなかったのでスプーンやフォークを使った。

口に入れたご飯はとても温かく、美味しかった。

その瞬間、涙が出た。

隣から心配する声が聞こえたが、構わず泣き続けた。

きっと私はあの時、優しさが欲しかった。

愛されたかったのかもしれない。

このなんでもないこと一つ一つを、してもらいたかったのかもしれない。









その施設の人々はとても優しかった。

学校へもきちんと行かせてくれた。

面倒臭いと文句を垂れながらもきちんと行った。

いつからかこの当たり前が当たり前になって、慣れすぎてしまった。

次第に昔のあの気持ちも忘れていってしまった。

私は学校で出来た友達からの影響でアニメやゲームなどが好きになり、片っ端からやっていった。

大会とかにも出た。

凄く楽しかった。

そしてその帰り、事故にあった。

いや、事件かな?

通り魔に刺されてしまった。

私は音を立てて倒れた。

あぁ、寒い。

寒いのは嫌いだ。

目が霞んでくる。

最後に見たのは、

いつかのあの青い影だった。

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作品ジャンル:アニメ
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チョコミント - 面白いです! (9月18日 19時) (レス) id: d1016c78dc (このIDを非表示/違反報告)
Wiyu(プロフ) - 名無しのインティライミさん» わぁああありがとうございます! 合格できるよう頑張ります!! (2019年1月17日 19時) (レス) id: 282d795185 (このIDを非表示/違反報告)
名無しのインティライミ - 受験頑張ってください!応援します!いつまでも待っているので、無事合格するのを願っていますよ!! (2019年1月17日 6時) (レス) id: 24c67caab3 (このIDを非表示/違反報告)
Wiyu(プロフ) - ヨルさん» キャー(≧∇≦) ありがとうございます! 頑張ります!! (2019年1月12日 1時) (レス) id: 282d795185 (このIDを非表示/違反報告)
ヨル(プロフ) - 受験頑張ってください!来年でも再来年でも何時でも待ってます! (2019年1月12日 1時) (レス) id: dd4205d183 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Wiyu | 作成日時:2018年9月23日 2時

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