60杯目 ページ14
夢を見た。
それはいつかの日、まだ私が幼かった時だ。
あるマンションの一室。
部屋の中にはほとんど仕切りがなく、部屋と部屋が繋がった状態だった。
私は壁にもたれかかった状態で、目だけ左へ向けると椅子に座り、タバコを吸いながら携帯をつつく母親の姿があった。
目を戻し、今度は下を見た。
腕や脚には痣が沢山あった。
殴られた跡だった。
これは、虐待。
親は鬱憤ばらしによく私を痛めつけていた。
体は動かない。
それ程までに疲労していたのだ。
けれど私はそれに関しては何とも思わなかった。
我慢すれば、いつかは終わると知っていたから。
でも、気になることが一つだけ。
心に空いたナニかが何なのか、満ちたらないナニかが何なのか、それだけは分からないままでいた。
今日も髪を掴まれ、殴られ、振り回された。
その後はただ放置される。
殴られた直後は体に熱が溜まり温もりを感じる。
でも、それは一瞬。
すぐにその熱は引いていき、体には痛みと寒さだけが残った。
寒さがやってくる度に私はナニかを求めていた。
そのナニかが何なのかを知るのはもう少し先だ。
今日はいつもとは違っていた。
殴られた後、親は私を抱えてベランダへと出た。
その刹那、体がふわっとした感覚に陥った。
何が起きたのかは分からなかった。
その後鈍い音がした気がしたが、
それが何を意味していたのかは分からなかった。
目を閉じる直前に青い影が見えた。
目を覚ますといつもとは違う風景があった。
一面白色で、空気もいつもと違う。
体中何かに巻かれている感覚があった。
誰か来た。
「君、危ないところだったよ。」
(何か言ってる・・・)
「あの子が連れてきてくれなければ死んでいた」
(あの子・・)
その話の内容を理解したのはもう少し回復してからだった。
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チョコミント - 面白いです! (9月18日 19時) (レス) id: d1016c78dc (このIDを非表示/違反報告)
Wiyu(プロフ) - 名無しのインティライミさん» わぁああありがとうございます! 合格できるよう頑張ります!! (2019年1月17日 19時) (レス) id: 282d795185 (このIDを非表示/違反報告)
名無しのインティライミ - 受験頑張ってください!応援します!いつまでも待っているので、無事合格するのを願っていますよ!! (2019年1月17日 6時) (レス) id: 24c67caab3 (このIDを非表示/違反報告)
Wiyu(プロフ) - ヨルさん» キャー(≧∇≦) ありがとうございます! 頑張ります!! (2019年1月12日 1時) (レス) id: 282d795185 (このIDを非表示/違反報告)
ヨル(プロフ) - 受験頑張ってください!来年でも再来年でも何時でも待ってます! (2019年1月12日 1時) (レス) id: dd4205d183 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Wiyu | 作成日時:2018年9月23日 2時