酒場のマスターはトリッパー (ページ25)

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23杯目ページ25

「さぁ、着いたよ。ここがーーーー」

武装・・探偵社・・・！

(ああー神よ。私は今とても感動して涙が出そうです。)

中に入ると、皆様お馴染みあのメンツ。

一斉にこっち見たから流石にビクッとなった。

「太宰、その人が社長の言っていた酒場の店主か？」

「そうだよ国木田君。けどただのマスターじゃないよ？こう見えて彼女は裏の界隈で有名なあの無名の酒場のマスターだ」

その呼び名はただ店名がなかったからである。

「なに⁉ あの・・・」

え、そんなにビックリする程の店なの？

あっ、国木田さんがこっちに来る。

(怖いよ)

私の近くまで来ると、目線を合わせるため腰を前のめりに曲げる国木田さん。

それを見て

『俺は動揺などしていないっ‼』

を思い出して吹き出しそうになったのは内緒である。

「小娘、お前が何故うちの入社試験に参加したいのかは知らんが、真面目にやらねばただでは済まさんぞ・・・！」

おぉー怖い・・・

でもさ、

「初対面の、しかもここの社長と世界屈指の名探偵の知り合いの人に向かって＂小娘＂はないと思いますけど？」

「ぐっ・・・‼」

おぉー、国木田さんの顔が歪んだ。

ついでに眼鏡も白くなった。

これはあれですな、コメディーで言うところの

図星突かれて焦ってます

ってシーン。

「そうだよ国木田君！」

そう叫んだ太宰さんは私を自分の方に寄せて腕を私の前で抱き締めるようにクロスさせた。

「私の大切なマスターになんて事を言うんだい！
確かにマスターは未成年だから、国木田君にとってはそうでも、私にとっては大事な・・・」

え、大事な・・・？

(ちょっと期待ーー/////)

「大事な心中相手なんだから‼」

ゴスッ‼‼‼

私は左肘で無意識に太宰さんのお腹を殴っていた。

太宰さんは低い声を出して、お腹を抱えながらその場に跪いた。

(別にいいもん！私には推しと言う名の友達中也がいるもん‼)

私は頬を膨らませ、太宰さんを見下ろす。

「なっ⁉ 心中相手だと・・・⁉ 申し訳ない、小むs、いや店主。うちの自殺マニアが貴方にとんだ失礼を」

「いえいえ、お気になさらず・・・」

そう言った後も国木田さんはずっと謝罪をしてくる。

そして私に対しての対応がグレードアップした気がする。

「でも、こ、この前マスター、も、了しょ」

「さあ皆さん！そろそろ試験の時間ですし太宰さんに敦君を呼びに行ってもらいましょうか！」

私は晴れ晴れとした笑顔で太宰さんの話を遮った。