元攘夷志士の医者はイケメン！「いや私女だからァァァア！」

第一訓　医者のあるべき姿ってなんだっけ ページ2

静かすぎる医院。閑古鳥が鳴いている……。

「誰か怪我してくれね一かな一」

『医者とは思えないな。その発言』

私は自分の中にいる冷静な自分の言葉を無視した。


あ、どうもこんちは。緒方 Aです。

現在私の好物みたらし団子を食べようと思って財布を覗いたら空だったんでどうにか患者を誘き寄せられないか考えている所です。

『ただのクズじゃん』

私は自分の中にいる冷静な自分の言葉を無視する。


金、金が必要なんだ！ 誰かさっさと怪我しろ！

『医者失格になれ』

私は自分の中にい(以下略)


でもマジで患者来んと私餓死すんぞ？


患者こい！かんじゃ！kannzya！kan…ん？kane！かね！金！金こい！

『……ノーコメで』


だが、私の願いが天へ届いたのか


玄関が開く音が聞こえたのだ！！

「患者！？」

風の如く飛んで行った私が、そこで見た光景とは！？


「患者じゃない桂だ。頼む、匿ってくれ！」
「てめーかよ！」

何故だ！神は私を見放したのか！
てか、何気に久しぶりなんだけど……。感動の再会が、こんながっかりする形になるなんて……。

だがその複雑ながっかりは、すぐにびっくりにかき消された。

「姿を消しただと！？ まだ近くにいるはずだ。ビク探せ！」
「うぉ！？ ビクった……」

不意に聞こえた大声に、脊椎から震えを感じた。

「真選組だ。A、奴らから匿ってはくれぬか」

「良いけどさ…次から匿り代とるからな。」

私が渋々頷くと桂は安心したように患者用の椅子に座った。

「それより、折角の再会だってのに、なんでこんな騒々しいんだよ……」
「え……女みたいなこと言うな……」
「女だが？」

ヅラは私の主張を無視し、椅子に乗りながらくるくる回っている。
くつろいでやがる。

「……他人の家押し入った時は『まぁ座れ』と言われるまで座っちゃいけねぇんだぞ」

ジト目で言う私に、ヅラは当たり前の事を口にするように返す。

「何を言う。俺達は他人ではない。友だ。友に遠慮は要らぬだろう！」

「それっぽく聞こえっけど遠慮は要るよ？ 親しき中にも何とやら。女性には遠慮しないといけないんだよ」
「だが貴様は男ではないか」
「殺す」

そこら辺に置いていた治療器具らしき針を手に取り、ヅラ……いや、敵の眼前に突きつける。

ヅラは両手を上げた。

「それは人を救う道具ではないのか……」

針の先端が目に刺さりそうになる。

ヅラは私の意識を逸らせようと、口早に話を次いだ。

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