謎の馬車 ページ3
殺風景なバックヤードをしばらく歩き、重い扉を開けて外界へ足を踏み出す。モンスターズ・インク“ライド＆ゴーシーク！”の屋根部分がぼんやりと青く光っているのが見える。
折り畳み傘を差しながら階段を降り、坂を上がる。左側からは雨音に紛れてかすかにトゥモローランドのＢＧＭが聞こえ、そちらに目をやると、パークから空にかけていくつもの青いサーチライトの光が踊っていた。一方で右側には鬱蒼と木々が生い茂っているが、夜と雨が合わさったことで輪郭は消え、闇と化している。
オリエンタルランドの敷地内は広く、パークで働くキャストは食事の時や帰宅時にバスで本社まで移動する。晴天の日の夕暮れ時にこの停留所を訪れるのは好きだった。遠くにはディズニーホテルが建ち、オレンジ色の太陽が沈む地平線には海が広がっていた。だが今日みたいな雨の日となると、せっかくの景色も霞んでしまったことだろう。
バスは何の問題もなく時間通りにやってきた。本社に着くと足早にロッカールームに行き、できるだけ急いで着替える。ここまでは普段通りだった。
キャスト用の出口から出ると、横断歩道を渡った向かい側にショッピングセンター・イクスピアリが建っている。淡いクリーム色の壁にパステルブルーの屋根、地中海風のデザインの外観は晴天の昼ならば今以上に映えていただろう。
「……長いな」
いつまで経っても信号が変わらない。壊れているのだろうか。そう思ったのを見透かされたようにようやく信号が青に変わり、Aは一歩足を踏み出した。
その時、ふいに右からゴトゴトと硬いものを転がすような音が近づいてきた。それは地を打つ激しい雨音にかき消されることなく、不自然なくらい鮮明に聞こえた。音のするほうを向いた時、Aの目に信じられない光景が飛び込んできた。
雨のベールを裂くように、一台の黒い馬車が向かってくる。荒々しく駆ける二頭の馬の姿も、地を蹴る蹄の音も、現実とは思えなかった。
耳をつんざくような雷鳴が轟いた次の瞬間――鮮やかな緑色の閃光が走り、世界が黒く塗りつぶされた。
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リー・マキトータ(プロフ) - 珠梨さん» 大爆笑しました🤣 ちなみに読みは『エウシーダ』で、二つのスワヒリ語を合体させた造語です。 (4月1日 14時) (
レス) id: 042fe54ac4 (このIDを非表示/違反報告)
珠梨(プロフ) - タイトルを入試だ☆と読んでしまった自分は…… (4月1日 14時) (レス) @page2 id: ac62a72ef1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リー・マキトーマ | 作成日時：2020年2月28日 9時
