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(ぜぇーったい何か裏がある)
しかし何も要求してこない。キルアがいたぶられる様子を私が黙って見てるとでも思っているのだろうか。
じとーっとミルキを見つめながら後を追う少女。ミルキは視線を受けつつも平気な顔をしていた。
「ここだ」
少し歩いて階段を下り、何処か血なまぐさい廊下に出る。
「ほら、入るんだろ。積もる話もあるだろうし先行って話してこいよ」
「…さっきっから怪しいぞ、あんた。何か目的があるんだろ。」
「目的はもちろんある。けどキルやお前をどうこうしようって気はさらさらないよ。」
少女はミルキの目を見る。イルミとよく似た大きな黒い瞳。…イルミはもっと深い闇のようだったけど、こいつは少し違う。
(……こいつの言葉に、嘘はない。)
少女は軽く息をつく。キルアが待つ扉には手を掛けず、身体はミルキへ向いたままだ。
「目的ってのを話して貰おうか。」
「俺さ、最新のパソコンが欲しいんだよね」
「そうか、パソコンな。…パソコン?」
「そ、パソコン。」
少女は固まる。良くも悪くもゾルディック家らしくない要望だ。
「んなもん自分で買えるだろ…」
「嫌なのか?」
「嫌っていうか…んー、まあ金で解決するなら全然。」
パソコンか…相場はわからないが1億くらいあればなんだって買えるだろ。
「わかった、パソコンな。どれがいいとかさっぱりだけど」
「その辺は勿論目星付けてる。後で教えるから俺の部屋来いよ。」
「ああ、わかった。」
そう言ってミルキは去っていく。…キルアと二人きりで話せるようにしてくれるらしい。
(痛めつけるだとか何とか言ってたけど、全部口実か。)
果たしてミルキは良い兄なのだろうか。少なくとも少女の目には、もう1人の兄より幾分かマシに見えた。
(……よし)
少女は頬をぱんぱんと叩いて、軋む扉に手をかけた。
ミルキは画面に向かう。そこには屋敷内のカメラの映像が映っていた。
(この辺とー、あとここだな)
屋敷内のカメラ及びセキュリティはすべてミルキが操作している。電子機器に一番強く、ガラクタだが天才的な発明をするミルキは家族にその役割を一任されていた。
それ故に、ミルキがカメラを少し弄っても気づく者は早々いない。
(…俺、パソコンを買えなんて一言も言ってないんだよな)
なんたって欲しいのはまだ世に出回ってない代物。金で買えるはずもない。
ミルキは画面に映る黒い髪の少女を見る。自身の弟である少女を見て、ミルキはにたりと笑った。
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かぴばら2(プロフ) - ネオさん» コメント今気付きました!申し訳ないです!思わず零れたような好き、ありがとうございます!!!これからも更新頑張ります!! (2021年2月17日 21時) (レス) id: a02d4950c9 (このIDを非表示/違反報告)
ネオ - 好き、 (2021年2月4日 20時) (レス) id: 58fc4bb18d (このIDを非表示/違反報告)
かぴばら(プロフ) - 赤トンボさん» いや、優しさに甘えてはいけません!!(戒め)少し前まで鬼滅で息を吸ってハイキューで息を吐く生活だったので、次からHHで息を吸ってこの作品で息を吐く生活に戻します!もう末期ですね!本当にありがとうございます!更新頑張ります!! (2020年4月11日 7時) (レス) id: 90b4b3f2c9 (このIDを非表示/違反報告)
かぴばら(プロフ) - レイカさん» ち、違うんだ!あいつらが、あいつらが誘惑してきたんだー!!!この世はエモい物に溢れすぎている…。土曜日とは言ったものの深夜帯になるかもしれません!!申し訳ない!ミュージカルアニメ漫画見ていっぱい更新するぞ!! (2020年4月11日 7時) (レス) id: 90b4b3f2c9 (このIDを非表示/違反報告)
赤トンボ - 最近この作品を見始めました。とても面白いです!鬼滅とかハイキューなど面白いのでしょうがないないですよ(笑)作者さんのペースで話を書いても全然大丈夫ですよ! (2020年4月10日 11時) (レス) id: d4227617d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かぴばら x他1人 | 作成日時:2019年9月11日 0時