00. Prologue ページ1
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『 ──ねぇ乱歩さん、私がもし、
其の時間内のみ人を助けられたら…
どう思われますか? 』
「 急に何?知らないよ。
其れって、君の異能力だろ? 」
『 ……ですよね、矢っ張り何でもないです 』
夜。武装探偵社の一室で、二人の男女が会話している。
──其の頃。
「 は、はは 」
一人の少年の乾いた笑い声。
「 何故
その少年は、血塗れになり、空を見上げて独りごちる。
「 ──それはね、君が己の意志で生きていないからだよ 」
其の問いに答えた者が──居た。
其奴は足を組んで、折れた木の幹に座っている。
包帯をして真っ黒なスーツを身に纏っている。
「 貴様は……一体… 」少年はむくりと起き上がる。
「 連中の、仲間か 」
「 君を組織に誘う
己の意志で暴力を振るうなら、どんな残虐も人間らしさの一側面だ。
だが 環境の関数として痙攣的に他者を傷つけるなら、それは単なる知性なき害獣だ 」
「
少年は立ち上がる。
「 ならば貴様等は何だ。
貴様等のような屑が振るう暴力が、正当でも云うのか 」
「 私を殺す気かい? だとしたら君は、
今日この世界で最も愚かな人間だよ。
芥川君 」
「 愚かで構わぬ。
世界で二番目に愚かな人間にすることのみ」
「 本当に救いようもない程に愚かだ。
復讐だって? その為なら死んでもいいだって? 」
男は溜息を吐く。
「 ──君が死んだ後、残された妹さんがこの街でどんな目に遭うか、
想像すらできないのか? 」
少年──芥川が、其の言葉に反応する。
「 ……?
貴様 貴様貴様! 妹に手を出す気か!
許さぬ、許さぬ! 」
──「羅生門」
「 死ね 」
すざましい殺意が、其処にはあった。
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作者名:甕調悠亜 | 作成日時:2023年10月29日 3時